Judgmentの精度と「交差点ハンティング」職場活性化術講座

職場の生産性を上げるにはどうすればいいのか。やはり現場は「サクサク仕事が進む明るい雰囲気」がいい。そのためには、一直線でガチガチの論理分析力だけでは足りない。

» 2009年06月05日 07時00分 公開
[徳岡晃一郎,ITmedia]

「3分以内に解答せよ」は厳しいか?

 前回は柔軟な左脳について考えてもらったわけだが、その際に出題したクイズは解けただろうか? 条件として3分以内に解答せよ、としたがそれはあくまで目安なので、じっくり考えてもらってもよい。前回のテーマは気持ちのいいサクサクした職場づくりだった。そのための「柔軟な左脳」を鍛えるクイズだったのだが…。では、今回は解答を披露しよう。

問1

5リットルの水が入るバケツと3リットルの水が入るバケツがある。水はいくらでもあり、捨てるのも自由。そういう条件の下で、この2つのバケツを使って、4リットルの水を求めるにはどうしたらよいだろうか。

解答

5リットルのバケツをいっぱいにして、その水を3リットルのバケツに移す。すると2リットルの水がバケツに残る。3リットルのバケツをいったん空にし、2リットルの水を空になった3リットルのバケツに移す。再度、5リットルのバケツをいっぱいにして、それを3リットルのバケツに流す。すると、1リットルだけ入るので、4リットルの水が、5リットルのバケツに残って、めでたく4リットルの水が測定できる。

どうだっただろうか? では、柔軟な左脳の第2問。

問2

人間の感触では重さの違いが分からない、まったく同じ形状をした8個のボールがある。しかし実はこのなかに1つだけ重さの重いものが混じっている。目の前に天秤があるので、この天秤を2回だけ使って、重さの重い1つを割り出すにはどうしたらよいだろうか。

解答

まずどれか2つを脇に置き、残った6個を3個ずつに分けて、天秤に載せる。もしつりあえば、その6個はすべて同じ重さなので、最初にはずしたどちらかが探している重さの重い1個。なのでその両者を天秤にかければ分かる。

もし、3つ載せた天秤が傾いた場合は、下がった方に重いボールが入っている。それゆえ、そのうちの2つを取り出し天秤に載せる。傾けば、下がった方が重いボール。つりあえば、はずした1個が重いボール。こうしてどの場合でも最後は1個の重いボールが特定できる。

どうだっただろうか? かなりの難問だったはずだ。では、極めつけの第3問へ突入。

問3

あなたはある部屋のドアの前にいる。スイッチが3つあってどれかが、そのドアの先にある部屋の明かりのスイッチだ。部屋は真っ暗でそのドアは1回しか開けられない。さて、あなたはどうやってどれが部屋の明かりのスイッチかを判断するだろうか。

解答

仮にスイッチをA、B、Cとしよう。まずAを押してしばらく待つ。しばらく待ったら、それを消してから、今度はBのスイッチを押して、すばやく部屋に入る。もし明かりがついていれば当然、答はB。もし暗かった場合は、電球を触ってみる。電球が暖かければ、先ほどまでついていた証拠だから、答はAのスイッチ。もし暗くて、かつ電球が冷たければ、何も起きていないわけなので、答はCとなる。

 これは、数学的論理だけではなく温度までも考慮に入れた立体的な左脳が必要だ。

 このように左脳といっても、がちがちな頭では面白い発想はできない。むしろ左脳でありながら、状況を的確に判断(judgment)できる力が必要だ。そのためには、常日頃から、出来事やニュースに自分なりの考えを持って批評を加えたり、友人と意見を交換し合ったりして、いろいろな見方を得ておくことが大事だろう。判断力は経験のなかで学習することによって身についてくる場数の問題だからだ。

 また、「メディチ・インパクト」の著者で、経営コンサルタントのフランス・ヨハンソンは頭を柔軟にするために、情報や気づきを得るための散歩を勧めている。彼はそれを「交差点ハンティング」と呼んでいる。交差点とは自分の知っていることと未知のこととの交差点と言う意味だ。知らない世界に出くわすことで多くの気づきや発想の転換が得られるというわけだ。

 さぁ、仕事ばかりしていないで、交差点ハンティングに繰り出そう。

プロフィール

とくおか・こういちろう 日産自動車にて人事部門各部署を歴任。欧州日産出向。オックスフォード大学留学。1999年より、コミュニケーションコンサルティングで世界最大手の米フライシュマン・ヒラードの日本法人であるフライシュマン・ヒラード・ジャパンに勤務。コミュニケーション、人事コンサルティング、職場活性化などに従事。多摩大学知識リーダーシップ綜合研究所教授。著書に「人事異動」(新潮社)、「チームコーチングの技術」(ダイヤモンド社)、「シャドーワーク」(一條和生との共著、東洋経済新報社)など。


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