コラム
» 2009年08月10日 09時52分 公開

Weekly Memo:富士通とOracleがクラウド連合を結成する日 (2/2)

[松岡功,ITmedia]
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重なるOracleのエリソンCEOと富士通の思惑

 一方、富士通にとって今回の提携の狙いはどこにあるのか。富士通グループでは、FJBが中堅・中小企業を対象に2007年からNetSuiteの販売を手がけてきた。だが、大手・準大手企業の事業部門においても、国内外の販売拠点や代理店の販売・出荷実績などをリアルタイムに把握したいという強いニーズがあることから、富士通も含めてグループとして販売強化に乗り出した格好だ。

 富士通はこれまで、CRMやSFA、グループウェアなどの業種共通分野に加え、自治体や医療などの業種特化分野まで幅広い分野でSaaSサービスを手がけている。さらに今回の提携によって、中堅・中小企業向けERPをラインアップに加えるとともに、FJBのSE部門と全国数百社のパートナーと連携して販売やインテグレーション、サポートなどの体制を整備し、SaaS事業を強化していく構えだ。

 さて、話を冒頭の「IT業界の最大の関心事」に戻すと、今回の提携の背景に、ネットスイートの創業者でありSunを買収したOracleのエリソンCEOの思惑と、Sunとつながりの深い富士通の思惑が重なって見える。その思惑とは、まさしくクラウド事業の強化だ。そう考えると、今回の提携は富士通とOracleのクラウド連合への布石とも見て取れる。

 ネットスイートの会見でも、そうした見方の質問が飛んだ。それに対し、ネルソンCEOはこう答えた。

 「エリソン氏は今もネットスイートの株を所有しているが、個人の思惑だけで議決権を行使できない仕組みになっている。一方で創業の経緯から、NetSuiteを使用するためのデータベースやアプリケーションサーバなどはOracleから調達している。今後、OracleがSunをどのような形態で生かすのか分からないが、ハードとソフトのバンドリングの行方などは当社も注意深く見守っている。いずれにしても今回の富士通との提携は、今後どういう状況になろうと、富士通とネットスイートにとってメリットがあると判断したものだ」

 ちなみに、エリソン氏は4月時点でネットスイートの普通株を74%保有しているが、03年には会長を退き、その後取締役も退任。直接的な関わりを徐々に減らしてきたようだ。それでも先に述べたように、同氏が描くクラウド事業構想における戦略会社との見方は、なお現実味がある。

 富士通の野副州旦社長は、7月23日に同社が開いた経営方針説明会で、Oracleとの関係についてこう発言した。

 「OracleとSunの話し合いがどのように進んでいるのか知らないが、少なくとも富士通がSunに提供し続けてきた技術については、Oracleから非常に高い評価を得ている」

 さらに、こうも語った。

 「当社にとって最大のライバルはIBM。Oracleとはそのベクトルでも方向が一致している」

 富士通とOracleがクラウド連合を結成する日は近い!?

プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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