オラクル、サンがそろう――Cloud Computing Developer Day 2009

企業とクラウドコンピューティングの在り方や関連する技術動向を伝えるイベント「Cloud Computing Developer Day 2009」では、日本オラクルやサン・マイクロシステムズの関係者が集まり、クラウド事業の考え方を参加者に伝えた。

» 2009年09月29日 18時45分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 「みなさまの一番の関心であるOracleとSun Microsystemsの関係だが、(買収が正式に完了するまでは)今は独立した別の会社として協業していく」

日本オラクル 副社長 執行役員の志賀徹也氏 日本オラクル 副社長 執行役員の志賀徹也氏

 9月29日に開催された企業とクラウドコンピューティングの在り方や最新の技術動向を伝えるイベント「Cloud Computing Developer Day 2009」において、基調講演に登壇した日本オラクル 副社長 執行役員の志賀徹也氏はこう切り出し、OracleによるSunの買収が正式に完了するまでは、別路線でビジネスを展開していく意向を示した。

 志賀氏はOracleによるM&A(企業の合併・買収)の歴史をひも解きながら、「すさまじい勢いでM&Aを繰り返してきた」と述懐。2009年も既に数社の買収に動いており、「Oracleは非常に元気だ」と参加者に訴えかけた。

 同イベントのテーマであるクラウドコンピューティングに話を移した志賀氏は、このほど発表したSunとの共同開発によるデータウェアハウスアプライアンス「Exadata Database Machine Version 2」に言及。新製品で実装されたオンライントランザクション処理の機能を紹介し、「クラウドコンピューティング時代における(Oracleの)大きなエンジンになる」と期待を込めていた。

プライベートクラウド実現に必要なこと

 続いて調査会社アイ・ティー・アールでシニアアナリストを務める生熊清司氏が講演のバトンを引き継ぎ、企業向けクラウドコンピューティングの現状を振り返った。

アイ・ティー・アールの生熊清司シニアアナリスト アイ・ティー・アールの生熊清司シニアアナリスト

 生熊氏は「中学生でもJava(という存在)を知っているなど、技術もコモディティー化(普及品化)している」と話す。かつては「縁の下の力持ち」という存在として見られていたITは、「競争を勝ち抜くための必須要素」に変わりつつあると指摘。こうした潮流こそ、クラウドコンピューティングが脚光を浴び始めている理由であると続ける。

 企業がクラウドコンピューティングの技術や仕組みを社内システムに取り入れる動きがプライベートクラウドだ。生熊氏はプライベートクラウドがもたらす恩恵を(1)リソースの統合と共有、(2)システムの構築と運用プロセスの標準化、(3)システムの構築と運用プロセスの自動化――にあると解く。

 プライベートクラウドの実現には、システムやサービスをSOA(サービス指向アーキテクチャ)でつなぎ、データセンターを含むインフラ部分を仮想化技術で統合していくことが求められる。これに対して生熊氏は「自律運用や自動修復など、運用管理にガバナンス(統制)を効かせることが必要」と勘所を取り上げた。

 「クラウドコンピューティングによって1つのパラダイムシフトが起こることは確かだ。企業向けシステムにおいても、クラウドに移行できるシステムや機能を取捨選択し、技術的な検証をきちんと行っていく必要がある」(生熊氏)

オープン化の重要性

サン・マイクロシステムズの河村浩明社長 サン・マイクロシステムズの河村浩明社長

 基調講演のラストを飾ったのはサン・マイクロシステムズの河村浩明社長だ。同氏はSunが「The Network is The Computer」というコンセプトを掲げ、SolarisJavaといった技術を積極的に第三者に開放し、イノベーションを生み出す「オープン戦略」を貫いてきたことに言及。クラウドコンピューティングに求められる企業の姿勢として、自社の技術やサービスを囲い込まない「オープンであること」の重要性を強調していた。

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