勝ち残る企業のWebプロモーション

Twitterパワーを最大限に引き出す先進ブランドたち企業とTwitterの向き合い方(2/3 ページ)

» 2009年10月23日 08時00分 公開
[斉藤徹,ITmedia]

Twitterのパワーを有効に活用しているベストアカウント

 前回の記事で、企業によるTwitterマーケティングの現状を分析することを狙いに、「世界のベストブランド100社」の活用を取り上げた。今回、これらの企業のTwitter活用について、メディア・パワーおよびエンゲージメント・パワーの2つの指標を算出した。

「世界のベストブランド100」におけるTwitterアカウントの活用実態調査

調査期間:2009年9月5日〜9月10日

対象企業:BusinessWeek誌とInterbrandが実施した世界規模のブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2008」のトップ100社(2008年9月19日発表)

アカウント選定:複数のTwitterアカウントを運用する企業においては主要なアカウントをすべて調査。その上で最もフォロー数の多いものを代表アカウントとして選定

調査方法:インターネットを通じて、選んだTwitterアカウントの活用実態を調査。特に2009年8月のすべてのつぶやきを抽出し、特性を分析した


Twiterのパワーを活用しているベストブランドは?

 まずはメディア・パワーを見てみよう。ベストブランド100社のうち、Twitterをすでに運用している56社について、最もフォロワー数の多い「代表アカウント」のベスト10を示したのが以下の表だ。

- 会社名 業種 代表アカウント メディアパワー 開始日 フォローしている フォローされている 主な利用クライアント
1 Google インターネットサービス google 394万9657 2009/02/10 167 151万1597 Web
2 Amazon インターネットサービス amazonmp3 230万9526 2008/05/12 544 103万7613 Web
3 MTV メディア MTV 229万6280 2007/03/26 1159 32万8040 TweetDeck
4 Apple コンピュータ iTunesTrailers 159万1205 2009/03/12 12 93万6003 Web
5 Dell コンピュータ DellOutlet 150万8491 2007/05/01 24 114万566 CoTweet
6 Yahoo インターネットサービス yahoo_shopping 95万4485 2009/03/26 1万6903 8万8856 Web
7 Starbucks 飲食業 Starbucks 44万5604 2006/11/29 8万5600 28万7786 CoTweet
8 Sony 消費財メーカー SonyPlayStation 24万7800 2007/11/27 217 6万4015 Tweetie
9 Microsoft コンピュータ MSWindows 17万9005 2008/07/31 3万8273 3万8270 Web
10 Nike 消費財メーカー nikebasketball 6万645 2007/05/09 184 2万1609 TwitPic/Web

フォロー数や利用しているクライアントは、2009年9月5日の調査時による

 トップは2月10日に開設されたGoogleのアカウント「google」だ。開設以来、1日当たり平均7000人を超えるペースでフォロワーが増えている。表の上位5社はいずれも大きなアクセス数を持つWebサイトを運営しており、フォロワーの獲得にコストがほとんど掛かっていない点が特徴だ。

複数アカウントを持つ企業のTwitter活用の実態

 各企業は複数の公式アカウントを持っているが、今回の調査では最大のフォロワー数を抱える「代表アカウント」のみを抽出している。トップブランド100社の上位10社で、1000人以上のフォロワーがいる企業アカウントをどれだけ持っているかも調べてみた。これらの企業はTwitter活用の実験段階を超え、サービスや支社ごとにTwitterを使って本格的に情報を配信していることが分かる。

- アカウント名 用途
1. Google 30アカウント 企業代表1、支社代表4、製品サービス25、求人1
2. Amazon 6アカウント 企業代表1、製品サービス3、EC連動2
3. MTV 39アカウント 企業代表1、支社代表8、番組連動30、求人2
4. Apple 2アカウント 製品サービス2
5. Dell 12アカウント 製品サービス7、支社代表2、EC連動1、ブログ連動1
6. Yahoo 23アカウント 企業代表1、支社代表2、製品サービス20
7. Starbucks 4アカウント 企業代表1、製品サービス2、アイディア投稿1
8. Sony 12アカウント 企業代表1、製品サービス5、支社代表6
9. Microsoft 25アカウント 企業代表1、企業ブログ1、製品サービス20、支社代表3
10. Nike 7アカウント 企業代表1、製品サービス6

(2009年10月1日時点)

 これらの企業アカウントが、8月の1カ月間につぶやいたすべてのつぶやきを調査し、その傾向を分析したのが以下の表だ。

- 会社名 代表アカウント 月間つぶやき数 日平均つぶやき数 平均文字数 対話比率 リンク比率 ハッシュタグ比率 一斉質問の比率
1 Google google 81 2.61 106 0% 96% 7% 0%
2 Amazon amazonmp3 82 2.65 105 16% 91% 5% 0%
3 MTV MTV 224 7.23 100 3% 91% 8% 0%
4 Apple iTunesTrailers 51 1.70 125 0% 92% 90% 0%
5 Dell DellOutlet 73 2.35 110 44% 36% 3% 4%
6 Yahoo yahoo_shopping 848 27.35 46 61% 28% 4% 0%
7 Starbucks Starbucks 359 11.58 76 87% 25% 6% 0%
8 Sony SonyPlayStation 120 3.87 91 0% 90% 13% 0%
9 Microsoft MSWindows 251 8.10 89 42% 54% 29% 0%
10 Nike nikebasketball 151 4.87 112 42% 24% 1% 5%

 一番多くつぶやきがあったのは「yahoo_shopping」で、1日平均27.35回と群を抜いている。つぶやきの内容は、顧客や利用者としっかりと交流をしつつ、お買い得情報などを織り交ぜたリアルタイムなつぶやきを配信している。これは(1)情報伝達と顧客との交流のバランスが良い、(2)Twitterならではのリアルタイムな情報を届けられる、(3)顧客と目線をあわせたつぶやき――という点で優れており、Twitterの活用を検討している企業の参考になるだろう。

 この表で特徴的なのは、顧客と対話をするか否かという姿勢が、企業によって明確に分かれていることだ。顧客との交流がほとんど見られないのは、「google」「MTV」「iTunesTrailers」「SonyPlayStation」である。これらのアカウントは、顧客からのつぶやきをほぼ無視する形で運用されている。

 一方、ほかの6社は積極的な対話をしており、その内5社はすべてのつぶやきの4割以上を対話に割いている。メディア・パワーの強いアカウントで顧客対話率が高いのは、好むと好まざるとにかかわらず、利用者がTwitterを使って質問や提案をぶつけてくるからだろう。

 つぶやきの中にURLが含まれる「リンク率」を見ると、「google」「amazonmp3」「MTV」「iTunesTrailers」「SonyPlayStation」のアカウントでは、全つぶやきの9割以上がWebサイトへの誘導を目的としたつぶやきであることが分かる。

 ハッシュタグ(「#」で始まる単語のことで、利用者同士が申し合わせて共通に使うことで、特定の話題やイベントのつぶやきを検索しやすくするもの)を多用しているのは、「Microsoft」と「iTunesTrailers」だった。一斉に質問をするという形でフォロワーにリアルタイムのアンケートを実施しているのは、「DellOutlet」「nikebasketball」となっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ