クラウド時代のデータベース新潮流
特集
» 2009年10月27日 08時00分 公開

クラウド時代のデータベースを考えるクラウド時代のデータベース新潮流(2/3 ページ)

[生熊清司(ITR),ITmedia]

クラウドが求められる背景と課題

 現在のIT市場はいずれの領域を見ても、2008年9月以降に顕在化した世界経済危機の影響を受け、成長が停滞している。ユーザー企業では、業務効率化に貢献する分野へのIT適用は一巡しており、コスト削減とビジネス状況への迅速な変化への対応による経営への貢献がこれまで以上に求められている。クラウドコンピューティングは、コスト削減と迅速なITシステムの構築といった現在のニーズを実現するための方法として、注目されているのだと考えられる。

 しかし、クラウドコンピューティングにも課題は存在している。クラウドコンピューティングは形を変えたアウトソーシングであるため、本質的な問題点はアウトソーシングと共通する。ユーザー企業が最も懸念するのは、運用管理を外部に任せられる反面、ユーザー企業側がサービスの品質をコントロールすることが困難になる点である。サービスの品質向上はベンダー側に委ねられるため、利用開始後に費用対効果やサービス品質が当初の期待を下回らないよう、ユーザー企業側が適切なガバナンスを働かせることが求められる。

 また、必要とするサービス内容が完全にコモディティ化していれば必要ではないが、多くの場合、企業では自社のコア・コンピタンスを維持するためにアプリケーションに独自の機能やロジックを必要とする。従って、企業ではクラウドの向こうに移行するシステムと自社内にとどめるるシステムの選択をしなければならない。この選択に関してはERPCRMなどのパッケージ・ソフトウェアを導入した経験が利用できそうである。

 しかしデータはどうであろうか。企業には、社外に持ち出すことを嫌う機密データや戦略的に重要なデータが存在している。特に国内では、これまでも大手企業を中心に、データを社外に保持・保管することに対する抵抗感が強いが、クラウドコンピューティングを利用すると社外のデータセンターの利用が避けられない。

 さらにハウジングやコロケーションといった社外データセンター利用と異なり、クラウドコンピューティングでは、どこのデータセンターに自社のデータが保存されているが分からなくなることすらある。そこで登場してきたのがプライベート・クラウドという考え方である。クラウドコンピューティングのコスト効率の良さと柔軟性を生かしたコンピューティング環境を社内に構築し、企業ユーザーまたはグループ企業ユーザーだけがサービスを利用する形態である。

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