ワークグループのニーズにフォーカスし、独自の製品をリリースするFileMaker。そのユニークなポジションをどのように捉えているか、米国FileMakerのトップが語る。
10月30日、FileMakerのプライベートカンファレンス「FileMaker Conference 2009」が都内で開催された。今回のカンファレンスは、国内では初の試み。当日は事例のリポートを交えた数々のセッションが催され、会場は盛況を見せていた。
このカンファレンスのため来日した、米国FileMaker社長のドミニーク・グピール氏と、システムエンジニアリング・マネジャーのアンドリュー・ルケイツ氏に、FileMakerの現状の位置付けと今後の展開を聞いた。
――FileMakerという製品をどのように位置付けているか。
グピール わたしがFileMakerの社長になった11年前、FileMakerの存在を確立するため、OracleやSQL Serverなどエンタープライズ向けRDBとExcelやAccessなどのデスクトップアプリケーションのギャップを埋めることを考えました。
FileMakerは、トランザクションを処理するようなハイエンドRDBとも、デスクトップアプリケーションのワークシートととも異なる、ナレッジワーカーが持つ価値ある情報を共有するためのビジネス用DBです。ハイエンドRDBやデスクトップアプリケーションと競合するものではなく、むしろこれらを補完するものと捉えています。
――FileMakerにはユーザー自身による開発例がよく見受けられるが。
グピール テクノロジーの選択肢が増える一方で、IT予算やIT部門の人員が増加されるケースは少なくなっています。その結果、IT部門の業務が過密化しているという現状があります。IT部門では財務会計や生産管理、SCMといったミッションクリティカルな基幹システムやインフラを担当するのが精一杯で社内の細かなITニーズにまでなかなか手が回りません。
一方、エンドユーザー側には、現場の生産性を向上させたいというニーズがあります。これらニーズすべてにIT部門が携わることは困難であり、ユーザー部門が自らの手で作り上げていかざるを得ません。また、ユーザー部門は業務を熟知しており、その意味でも、ユーザー自身がシステムを作ることの意義があるといえるでしょう。
ルケイツ ITには、戦略的なものと戦術的なものの両方があります。IT部門が手掛けるべきは、全社規模で使われる強固なシステムなどの戦略的な分野。ユーザー部門が求めるのは、部門レベルで迅速な対応が求められる戦術的な分野。FileMakerは戦術的なツールでありつつも、戦略的な分野に繋げられるのが特徴です。
「FileMakerはIT部門の仕事を奪っている」などと言われることもありますが(笑)、決してそうではありません。むしろ、ビジネス要件を熟知しているユーザー部門が開発の中心になることで、IT部門は効率的にシステムを構築できるのです。
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