「クラウドに100%コミットしている」――MicrosoftバルマーCEO 来日語録Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2009年11月09日 08時25分 公開
[松岡功ITmedia]
前のページへ 1|2       

ライバルはSalesforceとAmazon

 「ビジネスクラウド市場の開拓では、われわれが先行している」

 記者会見の質疑応答で、クラウド市場でのGoogleなどとのバトルにおけるMicrosoftの優位性を問われたバルマーCEOはこう語った。Googleについては「検索分野のリーダー」と認めたものの、「例えばメールやインスタントメッセージングなどでは、われわれが市場のリーダーだ」。その上で「競合相手という意味では、Googleよりもむしろ、ビジネスクラウドにおけるSalesforce.comやプラットフォームサービスにおけるAmazon.comを意識している」との見方を示した。

 「New Normal(新しい常態)には、New Efficiency(新しい効率性)が必要だ」

 顧客企業のCIO向けイベントでの講演で、バルマーCEOはこう表現した。New Normalとは、昨年来の不況が回復することなく、今の状況が「新しい常態」になることを意味する言葉で、米国メディアなどで最近、よく使われている。「もし、そうだとすれば、企業としてはNew Efficiency(新しい効率性)を追求しなければならない」というのがバルマーCEOの見解だ。そしてそのキーワードとして、コスト削減、生産性向上、イノベーションの3つを挙げ、「企業のIT部門や、われわれITベンダーは、ITを通じてそれらを実現できるよう一層努力する必要がある」と語った。

 「日本のIT産業は、他の国よりもまだまだ成長する機会がある」

 開発者向けイベントの講演での質疑応答で、日本のIT産業発展の可能性について聞かれたバルマーCEOはこう語って、次のような例を引き合いに出した。「例えば、PCの普及状況。米国の人口は日本の人口の2.5倍であるにもかかわらず、PCの年間販売台数では米国が日本の4倍に達している。つまり、日本でもっとPCが売れてもいいはずだ」。加えて日本のPC市場規模が、およそ10年前とたいして変わらないことも指摘。「そうみると、成長の機会がまだまだあることを、日本のIT産業関係者はぜひ認識していただきたい」と訴えた。

 「わたしの仕事は、庭づくりのようなものだ」

 記者会見の質疑応答で、Microsoftの経営トップとしていま一番、気にかけていることは何か、と問われたバルマーCEOは、「いま最も時間をかけて考えているのは、優秀な人材がベストを尽くしてイノベーションを起こせるような場をいかにつくっていくか、だ」と答え、それはあたかも、と上記の発言に。なぜ、庭づくりなのか。「庭は常に手入れしないと、綺麗な状態を維持できない。放っておくと悪影響を及ぼす草がどんどん生えてくる。いま(のMicrosoft)は非常に綺麗な状態だが、常に手入れするのがわたしの仕事だ」とバルマーCEOは、自らにも言い聞かせるように語った。同氏の経営理念の一端を覗けたようで、個人的には最も印象深いコメントだった。

プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ