IBMのクラウド責任者、Blue Cloud戦略やCisco連合を語る(3/4 ページ)

» 2009年11月24日 14時54分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 ユーザーがプライベートクラウドシステムを構築するのに必要なもの――ハードウェア、ソフトウェア、ストレージ、管理プラットフォーム、関連サービス――をほぼすべてそろえている企業は、世界でもIBMとHewlett-Packard(HP)くらいだろう(というよりは、この2社だけかもしれない)。

 両社は現在、個別分野で有力な企業の連合からの挑戦を受けている。連合を組んだのは、クラウドの構築という有望な新天地を目指すCisco Systems、EMCVMwareの3社だ。チップメーカーのIntelもこの連合に1枚かんでいる。

 このクラウドパートナーグループは11月3日、Virtual Computing Environment」という新たなジョイントベンチャーを結成したことを明らかにした。これは、3社のハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、「Vblock」というクラウドコンピューティングシステムを開発するという取り組みだ。

 3社連合ならびにIntelはさらに、Vblockシステムのマーケティング実務を処理するために、「Acadia」という共同出資企業を設立すると発表した。

 Vblockは、Ciscoのネットワーク製品、EMCのストレージ、セキュリティ、システム管理技術、VMwareの仮想化ソフトウェアを組み合わせた連係・構成済みのクラウドコンピューティングシステムだ。その規模は、顧客のニーズに応じて数百〜6000台の仮想マシンになるという。

 IBMはこれをどう受け止めているのだろうか。「彼らが提携を組む必要があるという事実は、連係が欠如し、複雑さが解消されていないことを示している」とクレメンティ氏は話す。「これは、IBMが持っている技術に彼らが単独では対抗できないことを裏付けるものだ」

 「わたしが最も重要だと考えているのは、クラウドコンピューティングは大多数のワークロードに対応するようになるということだ。これはまず、クラウドコンピューティングの形態はワークロードに依存するようになるということだ。次に、クラウドコンピューティングの柱となるのはサービス管理だ。そして、配備の面で顧客に選択肢を与える必要があると当社は考えている」とクレメンティ氏は話す。

 このアプローチとCisco-EMC-VMware連合のそれとの比較について、クレメンティ氏はコンシューマー市場から広がるイノベーションに例えた。

 「このモデルはコンシューマーの世界から生まれた。われわれは皆、Google、Shutterfly、Twitterといったサービスを利用している」とクレメンティ氏は語る。「電子メールを社外のクラウドに置くのは平気だろうが、銀行との取引記録を向こうに置くのは不安に感じるだろう。つまり、企業のワークロードについては、どれをどこに保存するかを決定する必要があるということだ」

 「異業種企業の連合がそれぞれの技術を持ち寄ることで、顧客のニーズに対処し、サイバー攻撃などの問題に対するセキュリティを備えた統合的なクラウドシステムを構築することができるのか」という質問に対し、「確かにそれは可能だ」とクレメンティ氏は答える。「では、このようなパートナーシップが緊密に技術を連係させ、ワークロードの効率的処理を実現できるか」という点については、「それはまだ分からない」と同氏。

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