ソーシャルメディアはサイバー犯罪の温床に

Ciscoのリポートは、ZeusやKoobfaceが注目のサイバー犯罪であることを示すとともに、ソーシャルメディアがすでにサイバー犯罪の温床となっていることを示唆している。

» 2009年12月10日 15時49分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 米Cisco Systemsは米国時間の12月8日、世界のサイバー犯罪の動向についての総括などを紹介した「Cisco 2009 Annual Security Report」を発表した。

 リポートでは、2010年に世界のスパム数が前年と比べて30〜40%増加すると推測。すでに米国やEU諸国などの経済発展国では国内のスパムゾンビのシャットダウンに取り組みはじめているが、発展途上国では今まさにブロードバンドの普及期にあり、スパムの温床となっている。なお、2009年現在、スパム発信数のトップはブラジルである。

 リポートの中で最も悪質な犯罪とされているのが、ターゲットを絞ったフィッシング攻撃や自動ダウンロードによってマルウェアをばらまくトロイの木馬の亜種「Zeus」。ログイン名とパスワードだけでなく、オンラインバンキングのクレデンシャルまでも盗み取られてしまうのが特徴。2009年には、世界中で約400万台のコンピュータがZeusボットネットに感染したとされる。

 また、注目すべき新しい犯罪として「Koobface」が挙げられている。2008年にFacebookで確認されたこのワームは、2009年にTwitter上にも出現。ワームが仕込まれたYouTubeビデオのリンクをクリックするようにユーザーを誘導するもので、これまでに300万台以上のコンピュータがこのマルウェアの亜種に感染している。Koobfaceは、2009年に入って急成長を遂げたソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などのソーシャルメディアがすでにサイバー犯罪の温床となっていることを示唆するものといえるが、リポートではSNSの弱点を突いた攻撃については「静観」が必要であるとしている。

 リポートではこのほか、マイナーな脆弱性や、ユーザーの好ましくない振る舞い、および旧式のセキュリティソフトウェアの危険性についても説明されている。



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