Amazon EC2の課金モデルに入札方式が追加空きリソースに対して条件を入札

Amazon Web Servicesのクラウドコンピューティングサービス「Amazon EC2」で、入札方式でリソースを利用できる新課金モデル「Spot Instances」がスタートした。

» 2009年12月15日 17時00分 公開
[西村賢,@IT]

 米アマゾン傘下のAmazon Web Servicesは12月14日、新サービス「Amazon Spot Instances」のβ版提供を開始した。Amazon EC2で未使用のリソースに対して入札が行える仕組み。利用者は、自分が払ってもいいという料金をあらかじめ指定しておく。この入札条件に対して、AWS側はスポット価格を算出。このスポット価格より安い条件のSpot Instances上のインスタンスを停止して、スポット価格以上の入札を行っているユーザーにインスタンスを割り当てる。入札額がこれを超えていても、課金はその時点でのスポット価格となる。

 入札条件として利用者はインスタンスの種類、インスタンスを起動する地域、起動したいインスタンス数、使用するAMI(OSイメージ)を指定する。入札は1回のみ有効か、継続的に有効かを指定できるほか、有効とする日時を指定できる。また、クラスタ利用を想定して、インスタンスをグループとして起動することや、同一データセンター内での起動もコントロール可能。

 想定している使い方としては、金融や生命科学など計算主体の利用や、Webクローリング、データ分析、メディアファイルのトランスコーディングなどのデータ変換など、バックグラウンド処理に適した用途があるという。逆にWebサーバやデータベースなどは、Spot Instanceで稼働させるのに向かない。また、任意のタイミングで不定数のインスタンスが起動・停止するため、Amazon SQSなどタスクをキューに入れて順次処理するようアプリケーションを構築しておく必要がある。また計算結果などは、順次Amazon EBSなどに保存するよう推奨している。

 これまで、AWSでは、任意のタイミングでインスタンスを立ち上げて利用した時間に対して課金を支払う従量モデルのほかに、あらかじめ一定期間の利用予約をしておいて、割安となるサブスクリプションモデルがあった。今回追加したSpot Instancesで3つの課金モデルとなる。利用者から見れば、入札方式を組み合わせることで、計算リソースの利用が少ない時間帯に計算処理を選択的に行うことができ、合計利用金額が安くなる可能性がある。

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