情報セキュリティ市場の変化に合わせた取り組みを――RSAが方針説明

RSAセキュリティは、情報セキュリティ市場の環境変化に合わせた取り組みを推進する2010年の方針を発表した。

» 2010年01月08日 17時21分 公開
[國谷武史,ITmedia]
山野社長

 RSAセキュリティは1月8日、2010年の事業方針に関する記者説明会を開き、情報セキュリティ市場の環境変化に合わせた製品やサービスなど推進すると表明した。

 同社の山野修社長は冒頭、情報セキュリティ市場の動向について触れ、セキュリティ対策への取り組みや方法、また、セキュリティ製品・サービスの形態などが従来から大きく変化していると説明した。

 従来のセキュリティ対策では、原則として保護する領域の外側にある脅威へいかに備えるかがテーマだった。例えば企業では、従業員や情報システムインフラ、データを保護領域として、境界の外側から来るマルウェアや不正アクセスなどの脅威を中心に対処する。

 だが、近年は従業員のワークスタイルの変化や、パートナーを含めた情報流通の広がり、組織内部に起因する情報漏えいの多発化などがある。保護する領域の内外を包括的に監視し、流通する情報の内容に着目して対策を講じることが求められているという。

 セキュリティ製品・サービスでも、従来は保護対象にする領域や方法ごとに応じたポイントソリューションとして提供され、ユーザー側もポイントソリューションを継ぎ足す形で対策を講じてきた。しかし、セキュリティ対策への取り組みが変化している現状では、個別の対策が氾濫することでの非効率性やコストの肥大化といった弊害も生じている。

 山野氏はこうした変化に加えて、2010年はオンライン犯罪が専門業者によるサービスとしても展開される可能性や、企業の情報漏えいの社会問題化なども挙げる。攻撃手法としは、ソーシャルネットワークやクラウドコンピューティングなどのオンラインサービスを悪用するモデルが台頭。また、企業の業績低迷は従業員が社内情報を外部で換金しようする動機につながっていくという。

 同社では、これまでに展開している認証や暗号化、統合ログ管理、オンライン犯罪対策、コンサルティングなどの製品やサービスへ引き続き注力する考え。さらに、情報セキュリティリスクの変化や複雑化を背景に山野氏は、他社とのエコシステムの拡大や包括的なソリューションの整備を本格的に推進する考えを明らかにした。

 2010年は、こうした方針の基に新しく情報漏えい対策のDLP市場や、仮想化システム向けのセキュリティ対策市場に参入する。DLP市場では認証や統合ログ管理などの技術に、デジタル著作権管理技術なども加えた包括的な仕組みを提供するとし、山野氏は「先行する他社とは違う仕組みになる」と述べた。

 仮想化システム向けのセキュリティ対策では、VMwareとの協業を推進してシステムインフラのセキュリティリスクを診断し、包括的なセキュリティソリューションを展開する準備を進めている。山野氏は、「特に仮想化インフラに対するセキュリティの不安は根強い。さまざまな仮想化プラットフォームを含めて、これらで運用させているクラウド型システムを安全にしていきたい」と話している。

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