Windows 7搭載「HP Slate」はiPadに対抗できるのか

iPadは4月発売で、価格は499ドルから。一方うわさによると、「HP Slate」は6月発売で545ドル前後になるようだ。

» 2010年03月23日 07時23分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 最近のうわさによると、米Hewlett-Packard(HP)のタブレットPCは、米国で6月に発売され、小売価格は545ドル前後になるようだ。これは、スペインのWebサイト「Clipset」に掲載された情報で(英語に機械翻訳された記事はこちら。ただし意味不明な翻訳が多いので注意)、これを額面通り受け取るわけにはいかない。Clipsetの記事は、このタブレットPCがUSBと内蔵カメラを備えている点も強調している。

 iPad発表前の数カ月間にわたって伝えられた間違ったうわさや“リポート”(中にはAppleのデバイスの価格は2000ドルで、12インチのディスプレイを備えるといった、今から思うと笑えるような情報もあった)に懲りたわたしは、ネット上で飛び交っている多くのタブレット関連の憶測はあまり信じないようにしている。とはいえ、Clipsetが示した製品情報は興味深い議論の糸口を与えてくれる。iPadの各モデルとWindowsベースの競合製品の多くが450〜650ドルというほぼ同一の価格帯になった場合、この数週間で多くの戦線において徐々に浮かんできた焦点がさらに明確になりそうだ。すなわち、人々はAdobe FlashやUSBなどの機能が欠落したデバイスを買いたいと思うだろうか、ということだ。また、Windows 7かApple独自のOSかというのは、一般の人々の購入判断を左右する問題なのだろうか。

 Appleは以前、ハードウェアの一部を省くという賭けに出たことがある。iMac G3のことだ。このモデルはFDDを備えておらず、その代わりにUSBスロットと書き込み可能なCDドライブが搭載された――結果は吉と出た。彼らはiPadでも再び賭けをしようとしている。外部インタフェースをドックコネクタだけにしたのだ。

 一方HPは、近く登場する自社のタブレットPCではAdobe Flashが動作するとして、早くも競争優位性を強調している。この製品のリリース時期が迫ってくれば、同社は顧客を引きつけると思われるハードウェア要素(WebカメラやUSBポートなど)を宣伝し始めるのではないだろうか。545ドルという価格(Clipsetの記事にある400ユーロをドルに換算)が本当だとすれば、HPとMicrosoftがこの製品のマーケティングで低価格路線を打ち出す可能性は低いだろう。

 1月にラスベガスで開催されたConsumer Electronics Show(CES)では、タブレットPC分野をめぐる話題が盛り上がった。Microsoftのスティーブ・バルマーCEOがキーノートプレゼンテーションで3種類のタブレット(HP製品を含む)を紹介したり、折り畳むとタブレットのフォームファクターになるタッチスクリーン搭載ノートPCが披露されたりするなど、メーカー各社はこぞってタブレットの試作機や計画を発表した。その数週間後にAppleがiPadを発表し、タブレットをめぐる熱気はすっかり冷めてしまったように思えた。だがここにきて、HPがスティーブ・ジョブズ氏の最新のガジェットに対抗する当面の最大の競争相手として話題を集めているのだ。

 しかし今のところ、HPが予約注文でAppleほど多くの台数を販売できるとは思えない。その理由の1つとして、HPはAppleほど熱烈なファン基盤を持っていないことがある。また、MicrosoftがWindows 7とタブレットで本当にインパクトを与えたいのであれば、この分野を再定義するような革新的な製品をハードウェアメーカーと共同で開発することを検討する必要があるだろう。手始めとして「Courier」のようなコンセプトを打ち出すのも悪くはない。

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