AppleはAmazonと違って、電子書籍をめぐる出版社との対立を避けられたようだ。流出した画像によると、AppleのiBookstoreではベストセラーを9.99ドルで販売するという。
出版社とAmazonがKindle向け電子書籍の価格をめぐって争ったのに続いて、Appleの電子書籍ストア「iBookstore」の価格体系とされるものの写真が出回った。このスクリーンショットはApple関連情報ブログApp Adviceが掲載したもので、現在のベストセラー小説4作が1作9.99ドルの価格で表示されている。同ブログの執筆者アレクサンダー・ボーン氏は、先週iBookstoreの「NDA(守秘義務契約)の拘束があまりきつくないプレビュー」に参加する機会があったとしている。「現時点では、New York Timesのベストセラーセレクション32作のうち、トップ10を含めた27作が9.99ドルになっている」と同氏は述べている。「残る5作は、最も高いものでも12.99ドルだ」
iPad発売が近づくにつれ、Appleの電子書籍の価格体系についての憶測も高まっている。App Adviceブログには、文学作品のデジタル化とアーカイブに取り組むボランティアプロジェクト「Project Gutenberg」からの作品が表示されたiBookstoreの写真も掲載されている。同プロジェクトは3万作以上をアーカイブしており、これらは無料で提供される。中にはマーク・トウェインの「トム・ソーヤーの冒険」や、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」などの古典も含まれている。電子書籍はAppleのiBookソフトを使ってダウンロードし、同ソフトには動画を埋め込むこともできる。
App Adviceが集めた情報は、Amazonが先に出版社との間に抱えたような対立を、Appleが回避できたことを示唆している。Amazonは2月に、電子書籍の価格をめぐる出版社Macmillanとの争いで和解し、オンラインストアから削除していたMacmillanの書籍を販売再開した。Macmillanが自身で価格を決めたいと要求し、書籍によって価格を変えられるようにしたいと求めたことで両社の意見が食い違った。
その後New York Timesには、Appleは電子書籍の価格決定権を得ようとしており、特定の書籍がベストセラーになった場合や、ハードカバー版が値下げされた場合の価格決定について大手出版社と交渉しているという記事が掲載された。この方式では、iBookstoreで通常12.99ドルまたは14.99ドルで販売されている電子書籍を、9.99ドルでダウンロードすることができる。記事ではAppleと交渉している出版社として、Simon & Schuster、Penguin Group、Macmillan、HarperCollins Publishers、Hachette Book Groupなどが挙げられていた。
このニュースの直前には、comScoreがiPadへの関心が既に高まっていることを示す調査結果を発表している。この調査ではさまざまな電子書籍リーダーやタブレットPCについての認知度、過去の購入経験、購入意向について聞いており、iPadの助成想起率(具体的な製品名を挙げて知っているかどうかを聞いた場合の認知率)は65%と、Kindleと同程度だった。また消費者の読書デバイスへの関心の高さも示された。調査に回答した消費者の58〜69%が、上位5種のデバイスについてオンラインで調べてみたことがあるという。「3カ月以内に真剣に購入を考えている人の割合はiPadが最も高く、15%だった。Kindleは14%だった。現在持っているデバイスに関してはKindleが最も多く、6%が同製品を持っていると答えた。ソニーのReaderが4%でそれに続く」
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