企業の“ワイヤレス化”に手応えあり――メルーが新体制を発足

メルー・ネットワークスは、企業での無線LAN利用に適した製品の展開で国内需要の取り込みを狙う。

» 2010年06月22日 17時47分 公開
[國谷武史,ITmedia]
新社長の司馬聡氏

 無線LANシステムベンダーのメルー・ネットワークスは6月22日、日本での事業展開に関する記者説明会を都内で開催し、4月に新体制を発足したことを明らかにした。独自のアーキテクチャを採用した製品の展開で国内需要を獲得したい考えだという。

 同社は4月に司馬聡氏が代表取締役に就任し、新体制を発足した。司馬氏は米RFIDベンダーのReva Systemsアジア担当副社長やイスラエルのVoltaireの日本地域ジェネラルマネジャー、ブロケード・コミュニケーション・システムズの日本技術部長などの要職を務めた経験を持つ。

 近年の事業動向について、米Meru Networksのイハブ・アブー・ハキマ会長兼CEOは、「企業のワイヤレス環境に適したアーキテクチャを製品に採用したこと、日本およびアジア地域での営業体制の強化が業績拡大につながった」と説明した。現在では38カ国で事業を展開し、3000以上の企業や組織の顧客を獲得。米NASDAQ市場への上場を果たした。

 同社は、「シングルチャンネル」というアーキテクチャを無線LAN製品群に採用している。このアーキテクチャは、複数のアクセスポイントを仮想的に1つのアクセスポイントとして運用するもので、1つのアクセスポイントで最大128台の無線LAN機器の接続、シームレスなアクセスポイントの切り替え、電波帯域の効率的な使用を可能にするという。

Meruが採用するアーキテクチャと従来のアーキテクチャの違い

 従来の無線LANのアーキテクチャは多数のアクセスポイントを設置して、サービスエリアを構築するが、電波干渉を避けるために複雑な調査とエリア設計が必要になるという。構築したエリアを拡張する場合でも再度調査と設計が必要になるほか、1つのアクセスポイントに接続できる機器も数十台に限られるといった課題が存在している。

イハブ・アブー・ハキマ氏

 ハキマ氏は、無線LANに対応したスマートフォンなどの携帯機器が企業で利用されるようになったものの、従来のアーキテクチャを採用する無線LANシステムでは対応するのが難しく、同社のアーキテクチャが必要になると主張する。「ワイヤレス機器がミッションクリティカルなアプリケーションでも利用され、信頼性と安定性がますます重要になる」(同氏)

 こうした製品展開により、顧客の業種は一般企業から官公庁、教育、医療、流通までの広い分野に及ぶ。特に国内では教育分野の顧客が目立ち、国立大学の17%が同社の製品を採用しているという。日本市場での展開について司馬氏は、「製品の強みを生かしてパートナー企業と一体となった活動を推進したい。データセンターやネットワークのバックボーンを除いたネットワークのほとんどをワイヤレス化するという気概を持って臨む」と表明した。

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