オンプレミスの資産をクラウド化する手段に――Microsoftと富士通のクラウド提携

Windows Azureを活用したビジネスで協業するMicrosoftと富士通は、Microsoft製品を資産として抱える企業顧客のクラウド化を支援すると表明した。

» 2010年07月13日 18時32分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米Microsoftと富士通は7月12日(現地時間)、米国ワシントンD.Cで開催中のパートナー向けカンファレンスで、Microsoftのクラウド向けプラットフォーム「Windows Azure」を活用したビジネスで協業すると発表した。協業についてマイクロソフトと富士通が13日に都内で記者会見を開き、提携の狙いや方向性などを説明した。

 2社の協業内容は、1.「Windows Azure Platform Appliance」の共同開発、2.Windows Azure Platform Applianceを利用した富士通によるサービス提供、3.富士通が5000人規模のWindows Azure技術者を養成、4.Windows Azureベースのソリューション開発および共同マーケティングの展開――である。

 協業の背景についてマイクロソフト業務執行役員エンタープライズパートナー営業本部長の五十嵐光喜氏は、「われわれにとって富士通は大規模なビジネスを展開しているパートナーの1社であり、15年先の社会基盤をクラウドで支えていくというビジョンで一致したため」と説明した。

 富士通の常務理事サービスビジネス本部長の阿部孝明氏は、「Microsoft製品を資産として抱える顧客が多く、クラウド化を目指す顧客にハードウェア製品やシステム構築、サポートなどをワンストップで提供したい。顧客にとっても選択肢の1つになるだろう」と述べている。

国内向けに提携内容を説明した富士通の阿部氏(左)とマイクロソフトの五十嵐氏

 富士通は、既に技術者をMicrosoftに派遣しており、PRIMERGYサーバをベースにしたWindows Azure Platform Applianceの開発に着手している。富士通版のWindows Azure Platform Applianceは年内に開発を終える計画で、2011年1月から同社の館林データセンターに導入し、「FJ-Azure」(仮)の名称でサービスを開始する予定だ。当面は世界約80カ所の同社データセンターで順次サービスを提供していく。Windows Azure Platform Appliance自体の販売時期や価格は未定で、阿部氏はサービスの状況を検討しながら決めるとしている。

  Windows Azure Platform Applianceは、Microsoftがハードウェア要件を含めて基本仕様を決め、ハードウェアベンダー各社と共同開発する。製品特徴の細部はハードウェアベンダーごとに異なるとみられる。なお、パッチ提供などソフトウェアの管理はMicrosoftが担当し、ハードウェアの保守についてはシステムインテグレーターもしくはハードウェアベンダーが提供する形態をとる。

 Microsoftは、富士通以外に米Dell、米Hewlett-Packard(HP)、米eBayとも協業する。各社との提携内容は「本社で検討しており、明かせない」(五十嵐氏)という。今後も協業先の拡大を目標にしているといい、富士通以外の国内企業とも提携していく方針を明らかにした。

 Windows Azure Platform Applianceの需要については、「クラウド環境をなるべく自社で構築・運用したいが、手間の少ない形態で実現できないかという声が既に寄せられている。数百台、数千台規模のサーバを運用する大企業やサービスプロバイダーからすぐに引き合いがあるのではないか」(五十嵐氏)と見込んでいる。

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