企業Twitterの今

ループス・コミュニケーションズとNTTレゾナントの調査から、企業によるTwitterの活用実態の最新結果が明らかになった。Twitterを実際に運用する企業の担当者は、運用期間や活用目的、課題をどうとらえているのか。最新動向を伝える。

» 2010年08月05日 16時45分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 ループス・コミュニケーションズとNTTレゾナントは8月5日、Twitterの公式アカウントを運用する企業の担当者を対象に実施した「企業におけるTwitter活用状況」の調査結果を発表した。日本企業のTwitter活用の実態を明らかにすることを狙いに、7月9日から12日まで調査を実施した。有効回答者数は315人。

Twitterアカウントの運用期間「6カ月未満」が64.2%

 Twitterアカウントの運用期間は「1カ月未満」が23.2%で1位だった。以下「3カ月〜6カ月未満」が21.6%、「1カ月〜3カ月未満」が19.6%と続いた。これらを足しあわせた「6カ月未満」は64.1%と過半数を超えている。6割以上の企業が2010年にTwitterの運用を開始しており、Twitterの企業導入は初期段階であることが分かる。「1年以上」は12.1%だった。

ソーシャルメディアの運用期間 ソーシャルメディアの運用期間(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

Twitter活用の理由「顧客接点」「無料」「ブランディング」

 Twitterアカウントの運用を開始した理由では、「顧客接点を増やしたかったから」(48.9%)、「無料で始められるから」(46.3%)、「担当製品やサービスのブランディングに効果があると考えたから」(41.0%)という回答が上位を占めた。企業の担当者は、顧客とのやりとりの機会を増やし、初期コストを掛けずに製品やサービスをプロモーションできるというTwitterの特徴を評価している。

ソーシャルメディアの運用開始理由 ソーシャルメディアの運用開始理由(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

予算の割り当て、1000人以上の企業で進む

 Twitterを含むソーシャルメディアに関する予算は、「なし」が43.8%で最も多かった。「100万円未満」(20.3%)、「分からない」(10.8%)が続いた。

 企業規模別で見ると、1000人以上の企業はソーシャルメディアの運営に予算を当てている。「300万円以上〜500万円未満」(8.3%)、「500万円以上〜1000万円未満」(13.3%)、「1000万円以上」(13.3%)を合わせた34.9%の企業(1000人以上の従業員規模)が、300万円以上の予算を確保している。

ソーシャルメディアに関連した予算 ソーシャルメディアに関連した予算(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

 ソーシャルメディアにおいて「運用ガイドライン」を制定する企業も出てきているが、企業規模により制定状況は分かれた。従業員が10人未満の企業の83.2%、10人以上100人未満の企業の65.9%は、ガイドラインが制定されていない。一方、1000人以上の企業では「すべきことや禁止事項が明文化されている」(41.7%)が最も多く、「連絡体制を含めたマニュアルがある」(36.7%)が続いた。

ソーシャルメディアの運用ガイドライン制定状況(複数回答) ソーシャルメディアの運用ガイドライン制定状況(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

Twitterの施策、顧客との対話や交流が主軸

 Twitterアカウントで展開している施策では、「担当者のキャラクターを工夫して好感を持ってもらうように努めている」(33.7%)がトップだった。「自社製品・サービスに関するツイート(つぶやき)に積極的にコメントしている」(33.3%)、「顧客とのフランクな交流を心掛けている」(31.4%)が続いた。顧客との対話や交流を目的としたTwitter活用が支持されている傾向が明らかになった。

 一方、「自社に関するツイートをモニターしている」(14.9%)、「Twitter上での顧客の声を製品・サービスに積極的に反映させている」(8.9%)、「Twitterでアンケートを行ったり、新商品のための意見を顧客から募集している」(7.0%)などの回答も挙がった。Twitter上の顧客の声をマーケティング活動に反映させる施策はまだ十分に講じられていないことが分かる。

Twitterアカウントで行っている施策(複数回答) Twitterアカウントで行っている施策(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

Twitter活用は自社メディアの流入数増加に寄与

 Twitterアカウントの運用における具体的な成果を「当てはまる」「やや当てはまる」「あまり当てはまらない」「当てはまらない」の4段階評価で聞いた。「当てはまる」および「やや当てはまる」を合わせた回答では、「公式ブログへのアクセス数が増加した」(65.5%)、「自社サイトへのアクセス数が増加した」(58.7%)、「自社ECサイトへの誘導数が向上した」(52.3%)が目立った。企業が運営する各種メディアへの流入数増加にTwitterが寄与している。

 「ソーシャルメディア上での問い合わせ件数が増加した」(56.5%)、「営業での顧客との関係が向上した」(50.2%)など、事業への貢献を表す指標も過半数を超えている。また、「新規顧客数が増加した」(47.6%)、「既存顧客のリピート率が向上した」(46.9%)、「顧客単価が増加した」(40.0%)など、売り上げに関連する指標でも効果が出始めている。

Twitter企業アカウント活用の具体的な効果(複数回答) Twitter企業アカウント活用の具体的な効果(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

 これらの成果は、企業規模が大きくなるほど顕著に現れている。1000人以上の従業員の企業では「ソーシャルメディア上での問い合わせ件数が増加した」(83.3%)、「自社ECサイトへの誘導数が向上した」(72.7%)など、具体的な成果につながった。

Twitter企業アカウント活用の具体的な効果(「当てはまる」+「やや当てはまる」)企業規模別(複数回答) Twitter企業アカウント活用の具体的な効果(「当てはまる」+「やや当てはまる」)企業規模別(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

運用課題は「効果測定」

 運用課題では「効果の測定が難しい」(40.0%)が最も多かった。「営業上の効果が見えない」(26.0%)が続いた。Twitterにおける効果測定の難しさが回答に現れている。

Twitter企業アカウント活用上の課題(複数回答) Twitter企業アカウント活用上の課題(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

 効果測定指標の導入状況では、100人未満の企業の3割以上が「効果測定の指標がない」と答えている。一方、1000人以上の企業では「自社の好感度」および「投稿したツイートの伝播率」を指標に設定している企業が4割を超えた。

効果測定の指標(複数回答) 効果測定の指標(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

Twitter運用の「予算」「人員」は現状維持

 Twitterアカウントの運用における今後の意向を「予算」「人員配置」という指標で聞いたところ、「現状維持」という回答がいずれも8割超だった。「予算を増やす」が10.5%、「人員配置を増やす」が12.1%だった。

Twitter企業アカウントの今後の運用意向 Twitter企業アカウントの今後の運用意向(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)

 今後積極的に活用したいソーシャルメディアはTwitterが74.6%でトップだった。Ustreamは15.9%、Facebookは15.2%となり、Twitterほどの利用意向はみられなかった。

今後活用したいソーシャルメディア(複数回答) 今後活用したいソーシャルメディア(複数回答)(出典:ループス・コミュニケーションズ、NTTレゾナント)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ