HPがPalmブランドのスマートフォンおよびタブレットの発売に向けて、元MeeGo責任者やSamsungの研究開発担当幹部を採用し、態勢を整えている。
米Hewlett-Packard(HP)は、webOSメーカーの米Palmを買収して以来初のPalmブランドの新スマートフォン投入を準備する一方で、Palmのライバル企業の幹部を登用することでPalm部門のスタッフの拡充を図っている。
Wall Street Journalの「All Things D」サイトの記事によると、フィンランドのNokiaを「個人的な理由」で先月退職したアリ・ジャクシー氏は現在、HPのPalm部門の上級副社長に就任したもようだ。ジャクシー氏はNokiaでMeeGo部門の責任者を務めていた。MeeGoはNokiaと米Intelが共同開発した新OSだ。
さらにHPは、韓国のSamsungの研究開発部門を統括してきたビクトリア・コールマン氏を引き抜き、webOSのプラットフォームとアプリケーションの開発責任者に就任させたと伝えられている。
また、HPのコンシューマーアプリケーション担当上級副社長のスティーブン・マッカーサー氏がPalm部門に異動し、製品マーケティングを統括することになったようだ。All Things Dによると、同氏の異動に伴い、HPのパーソナルシステムグループで海外販売を担当していたエンリケ・ロレス上級副社長がPalmの販売スタッフの責任者に就任したほか、製品開発部門のスティーブ・マンサー上級副社長が製品管理を統括することになった。
PalmがHPに買収される前に、webOS開発担当の主要幹部だったマイク・アボット氏が同社を去った。同氏はソフトウェアとサービス部門の上級副社長を務めていた。アボット氏は4月に退職したが、その引き金となったのは、経営不振に陥っていた同社が身売りを検討していることを明らかにしたことだった。身売りに備えて自社の価値を高めるために主要スタッフを社内にとどめておきたいと考えたPalmはその後すぐに、従業員引き止め策を打ち出した。これは、同社に2年間とどまった従業員に「株式報償と現金ボーナス」を支給するというもので、現金ボーナスの金額は25万ドル。
HPは4月、Palmを12億ドルで買収する方針を発表し、7月に買収が正式に成立した。その後、HPは買収の最大の狙いがPalmOSを獲得することにあり、このオープンソースOSで動作する複数の端末をリリースする計画であることを明らかにした。
HPのトッド・ブラッドリー執行副社長は7月1日付の発表文で「webOSの獲得により、HPはスマートフォンをはじめとする各種携帯端末でユニークかつ魅力的なエクスペリエンスを顧客に提供するつもりだ」と述べている。「これにより、当社のスマートフォン製品のラインアップの拡充とwebOS市場の拡大に全力を集中できるようになる」
ジャクシー氏、コールマン氏、マッカーサー氏がPalm部門に加わったことで、HPはこの取り組みに注力する態勢が整ったようだ。
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