Androidセキュリティの3強を狙う、エフセキュアが企業と個人向けに新製品

エフセキュアがAndroid向けセキュリティソフトを発表した。企業やサービスプロバイダーなどが利用するための管理サービス機能も提供する。

» 2011年05月11日 20時05分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 エフセキュアは5月11日、Android向けセキュリティソフト「エフセキュア モバイル セキュリティ for Android」と、企業やサービスプロバイダーなどが利用するための「エフセキュア プロテクション サービス モバイル」を発表した。個人向け製品は同日から提供を開始しており、法人向け製品は6月に出荷を開始する。

 エフセキュア モバイル セキュリティ for Androidは、ウイルス/スパイウェア対策、盗難・紛失対策、Webブラウザ保護、ペアレンタルコントール(個人向けのみ)の機能を搭載する。対応バージョンはAndroid 2.1〜2.3。また、エフセキュア プロテクション サービス モバイルはWebベースの管理サービスで、ライセンス管理や資産管理、盗難・紛失時の対応、端末へのメッセージ配信、レポート機能を搭載している。

 エフセキュア モバイル セキュリティ for Androidでは、盗難・紛失対策の機能が豊富である点が特徴という。盗難・紛失時に遠隔操作で端末のデータを消去したり、ロックさせたりできるほか、GPS機能を利用して端末の所在場所を確認できる。また、アラーム音を強制的に鳴らすことで周囲に端末の存在を知らせることもできる。端末を拾得した人物が同ソフトをアンインストールするのを阻止する「Anti-Exit」という機能もある

盗難・紛失対策機能の内容

 エフセキュア プロテクション サービス モバイルではAPIもする。開発が伴うものの、一般企業では既に導入しているIT管理ツールにエフセキュア プロテクション サービス モバイルを統合できるようになっている。また、通信事業者やサービスプロバイダーがカスタマイズを行って、独自サービスとして提供できるようにもなっている。

管理ポータルのイメージ。6月中に日本語化される予定

 個人向けのエフセキュア モバイル セキュリティ for Androidは、同社のオンラインストアとBB ソフトダイレクトで販売し、価格は1年版が3500円となる。法人向けのエフセキュア モバイル セキュリティ for Androidは、同社の販売パートナーが提供。価格は導入規模で異なり、1〜24ユーザーの場合で1ユーザー当たり年間3150円。エフセキュア プロテクション サービス モバイルは個別対応となる。

 桜田仁隆社長は、「機器メーカーや通信/サービス事業者にも積極的に採用を呼び掛け、各社がセキュリティサービスを提供することを支援したい。個人向けや一般企業向けの販売を含めて、Androidセキュリティ市場でトップ3を狙う」と語った。Androidセキュリティ市場では、既にシマンテック、マカフィー、カスペルスキー、トレンドマイクロなどセキュリティベンダー各社が参入を表明。Android端末が爆発的な普及を見せる中で、セキュリティ市場でのシェア争いが始まっている。

マルウェアの脅威はPC並みに

 テクノロジー&サービス部 技術部長の八木沼与志勝氏によれば、Android端末のリスクには盗難・紛失などの物理的なものと、ソフトウェアやサービスを悪用するものがある。前者の場合は、端末の悪用や情報漏えい、また、転売などの問題を引き起こす。後者ではマルウェア感染による情報盗難や不正操作、オンライン詐欺などの問題につながる。

 盗難・紛失は、持ち運びがしやすいというモバイル端末の特徴に起因するだけに、発生確率が高いリスクでもある。このため同社は、個人向けにはエフセキュア モバイル セキュリティ for Androidの盗難・紛失対策機能だけに限定した別バージョンの製品を無償提供する。また、端末が発見された時に設定やデータを復元できるようオンラインのバックアップ/リカバリ機能を年内に追加する予定だ。

 一方、マルウェアなどのリスクは今後急増することが見込まれ、八木沼氏は未然に備えるという意味でもセキュリティソフトの導入を推奨する。Androidはオープンソースとして公開されているだけに、脆弱性などの解析がその他のOSに比べて容易であり、ユーザー数の急増ぶりがサイバー攻撃者の関心を高めている。

 例えば、2011年前半に感染が拡大したマルウェア「Geimini」は、正規のゲームアプリに組み込また海賊版として、Androidマーケット以外のアプリマーケットで流通した。最近見つかったこの亜種は脆弱性を突いてroot権限を不正に取得し、OSの深部にまで侵入する。OS自体が改変されてしまうため、感染するとセキュリティソフトでは駆除できず、出荷時に状態に戻すことも不可能だという。

ビジネス利用でも約20%がインターネット閲覧であるといい、個人・法人問わずWebの脅威が存在する

 また、Androidを含めたスマートフォンはPC向けのWebサイトも閲覧できるため、ユーザーがフィッシングサイトやマルウェア配布サイトに誘導されやすい。未成年では出会い系サイトなどの有害サイトに接触してしまう可能性が高いと八木沼氏は指摘している。

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