ウイルス作成罪を新設 改正刑法が可決・成立

コンピュータウイルスの作成・保管・提供行為などを罪に問う「ウイルス作成罪」の新設を含む刑法改正改正案が、国会で可決・成立した。7月から施行される。

» 2011年06月17日 20時22分 公開
[本宮学,ITmedia]

 「ウイルス作成罪」の新設を含む刑法改正案が6月17日、参議院本会議で与野党の賛成多数により可決、成立した。7月に施行される。

 現行の法律では、コンピュータウイルスの作成・保管・提供などの行為を直接罪に問うことはできなかった。改正で、ウイルス作成罪を新設し、ウイルスを作成・提供する行為に3年以下の懲役または50万円以下の罰金、取得・保存行為には2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるようになる。

 法務省のQ&Aによると、ウイルス作成・提供罪は(1)正当な理由がないのに、(2)無断で他人のコンピュータにおいて実行させる目的で、ウイルスを作成・提供した場合に成立するとしており、ウイルス対策ソフト開発などの目的でウイルス的プログラムを作成する場合などは該当しないとしている。

 また同罪は故意犯であり、プログラミングの過程で誤ってバグを発生させても犯罪にはならないとしている。

 またウイルス保管罪は「無断で他人のコンピュータにおいて実行させる目的で」保管した場合に成立するものであり、ウイルスをメールなどで送りつけられたユーザーは該当しないという見解だ。

 サイバー犯罪の抑制効果が期待される一方で、ネットでは「ウイルスを作成していないか調べるため、一般人のPCが警察などに監視されるのでは」――という懸念がなされていた。これに対し法務省は「PCの差し押さえや通信履歴の入手には、これまで通り裁判官の令状が必要。監視を可能とするような特別な捜査手法が導入されるわけではない」としている。

 可決された法案の正式名称は「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」。“サイバー刑法”とも呼ばれる。

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