EMC、“ビッグデータ”時代に向けた事業方針を説明

EMCジャパンは、非構造化データを中心とした大量のデータを企業が活用するためのソリューション提供を強化するという。

» 2011年07月05日 15時47分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 「今後10年で企業が取り扱う情報量は50倍に」――EMCジャパンは7月5日、都内で記者会見を行い、「ビッグデータ」と呼ばれる大量の構造化/非構造化データの活用に関する事業の方針を説明した。2010年までに買収したGreenplumやIsilon Systemsの製品や技術を中心に展開するという。

 会見した山野修社長は、将来の企業ではソーシャルメディア上で生成されるテキスト情報や環境のセンシング情報といった無数の非構造化データをビジネスに活用することが不可欠になると述べた。従来の情報活用はデータベースに格納できる構造化データを前提にしていたが、近年の技術の進化で、複雑な構造を持つ情報の分析や管理が容易になりつつある。

 米EMCが6月28日に発表したIDCとの共同報告書によると、2011年に生成されるデータ量は1.8ゼタバイトに上ると予想される。これは、米国の全ての国民がTwitterで1分間に3回ツイートし、それを2万6976年間続けるのに等しいデータ量という。

 山野氏は、「2020年には現在に比べてサーバが10倍、ファイル数が75倍に増える。一方、企業のIT管理者は1.5倍にしか増えない。膨大なデータを円滑に処理する仕組みが重要になる」と語った。

 ビッグデータ市場に向けて同社が展開するのがGreenplumやIsilonの技術。Greenplumは、データウェアハウス(DHW)ソリューションとして、ビジネス分析などにも強みを持つ「Greenplum Database」や、Hadoopのディストリビューション「Greenplum HD」などを展開するベンダー。Isilonはストレージ容量を柔軟に拡張できる「スケールアウトNAS」を特徴するストレージベンダーであった。いずれも2010年までにEMCの事業部門に組み込まれている。

 アイシロン事業本部長の江尾浩昌氏は、データ量の増加とともに拡張性やパフォーマンスなどが厳しくなるNASの問題点を克服したスケールアウトNASがビッグデータ時代に適したストレージシステムになると強調する。エンターテインメントや研究・開発、医療など、多種多様で大容量のデータを取り扱う業界で豊富な導入実績があり、これらの分野で培ったビッグデータ活用のノウハウをより広い業種・業界の企業に提供できるとした。

 Greenplumの日本法人の立ち上げを担当していた常務執行役員 ストラテジー・アライアンス統括本部長の徳末哲一氏は、その過程でEMCによる買収があり、EMCジャパンに入社した。EMCジャパンではGreenplumの事業を所管する「データコンピューティング事業本部」を2010年に立ち上げている。

 現在、データコンピューティング事業本部には10人程度のスタッフが配置され、徳末氏とともにパートナー企業の開拓に注力しているという。「特にHadoop技術者の不足は深刻な問題。パートナーとの協力を通じて将来を見据えた事業基盤を強化したい」と徳末氏。ビッグデータを既に活用し成功している企業に米Amazonや楽天を挙げ、10年以内にビッグデータの活用が多くの企業で経営課題に挙げられるようになるだろうとの見方を示した。

会見した山野氏、江尾氏、徳末氏(右から)

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