エンタープライズ分野では引き続きソリューションに注力――マイクロソフトに聞くMicrosoft WPC2011 Report

Microsoftは2012年度の事業方針に「クラウド」や「ソリューション」を掲げる。日本におけるパートナー戦略ではどのように取り組むのか。業務執行役員の五十嵐光輝氏に話を聞いた。

» 2011年07月13日 08時00分 公開
[聞き手:渡邉利和,ITmedia]

 Microsoft Worldwide Partner Conference 2011が7月10日から5日間の日程で、米カリフォルニア州ロスアンゼルスにおいて開催中だ。昨年から本格始動した同社のクラウド戦略が引き続き堅持されることが明らかになったが、日本でのエンタープライズ分野における取り組みにクラウドが具体的にどのように関わってくるのか――日本マイクロソフト 業務執行役員 エンタープライズパートナー営業統括本部長の五十嵐光輝氏にWPC2011会場で話を聞いた。

パートナーと協調してソリューションを実現

 先日の事業戦略説明会でも、2012年度の3つの柱の1つとして社長の樋口(樋口泰行氏)から「ソリューション」への注力が挙げられましたが、これは今年度の話ということではなく、これまでも、これからも継続的に取り組んでいく事業で、エンタープライズ分野では特に重要な取り組みとなっています。

業務執行役員 エンタープライズパートナー営業統括本部長 五十嵐光輝氏

 ソリューション提供に当たっては、パートナーと一緒に取り組まなければエンドユーザーの問題を本当に解決することはできません。パートナーが持っている力には計り知れないものがあり、パートナーとマイクロソフトが協調することで、エンドユーザーにより良いソリューションを提供できるでしょう。一方、現在のITはクラウドを抜きに考えることはできなくなりつつある状況です。ここでは「マイクロソフトのクラウド」と「パートナーのクラウド」の2種類が考えられます。マイクロソフトのクラウドとしては、Office 365などの提供が既に始まっています。ここでのパートナーとの協業例としては、パートナーごとに独自の機能/サービスをOffice 365と組み合わせてソリューションを構築し、提供するという取り組みがあります。

 もう1つはパートナーが独自にクラウドを構築し、そこにマイクロソフトが参加することでより良いソリューションを実現していくというものです。パートナーにとってはこちらの方に高い関心があるのだろうと思います。パートナーのクラウドを支援する策の1つとして、今年4月には「ライセンスモビリティ」という体系を発表しました。これは、マイクロソフトの「EA(Enterprise Agreement)」を契約しているユーザー企業では、従来通りに自社内のITリソースにソフトウェアをインストールすることも、パートナーのクラウド上で稼働させることもできるというものです。一度契約すれば、ソフトウェアの実行場所に制約がなくなるので、自社内のITリソースと外部のクラウドを区別することなく自由に移動できるようになります。

 マイクロソフトの社内体制としては、パートナー担当の営業部隊内にエンドユーザーのインダストリーごとに専門担当者を配置しました。実際にソリューションを提供する場合には、ユーザーの業種・業態によって必要な取り組みが大きく変わりますので、それに対応できる体制を作りました。

 最後に、日本のユーザー企業やパートナーのグローバル化を支援していきたいと考えています。WPCもそうした場の1つですが、こうした機会を通じてマイクロソフトが持つ「グローバルなベストプラクティス」をパートナーと共有したり、あるいは日本のパートナーと海外のパートナーが交流・提携したりといった縁を取り持つことができます。今までは、日本の独自性ばかりを強調するような風潮もあったようにと思いますが、クラウド時代になってグローバル化を意識する必要が以前よりもさらに高まりました。日本独自のソリューションを構築する場合でも、「グローバルでは物事がこう動いているが、日本ではこうする」という世界の全体像を常に把握した上で日本のことを考える、という姿勢が重要になるでしょう。マイクロソフトは、WPCのような機会を通じて日本のパートナーに有益な情報を発信していきたいと考えています。

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