顧客に幅広い選択肢を 「Oracle Fusion Applications」を提供開始Oracle OpenWorld San Francisco 2011

昨年の「Oracle OpenWorld」で発表があったモジュラー型アプリケーションスイート製品「Oracle Fusion Applications」がついに一般リリースとなる。

» 2011年10月11日 19時15分 公開
[伏見学,ITmedia]

 米国・カリフォルニア州サンフランシスコで先週開かれていた米Oracleの年次カンファレンス「Oracle OpenWorld San Francisco 2011」では、アプリケーションに関するキーノートセッションも行われた。同セッションでは、米Oralceのシニアバイスプレジデントでアプリケーション開発責任者を務めるスティーブ・ミランダ氏が、業務アプリケーションの統合的な製品である「Oracle Fusion Applications 11g」の一般提供を発表したほか、同製品を早期採択したユーザーの事例が紹介された。

米Oracleのスティーブ・ミランダ氏 米Oracleのスティーブ・ミランダ氏

 「顧客はオンプレミスでもクラウドでも自社に最適な形で、また、幅広い選択肢を持って、Oracleのあらゆる業務アプリケーションを利用することができる」――。ミランダ氏は力を込めてFusion Applicationsの強みを語る。同製品は、昨年のOpenWorldで発表されたモジュラー型アプリケーションの包括的スイート。「Financial Management(財務管理)」、「Procurement and Sourcing(購買調達)」、「Project and Portfolio Management(プロジェクト・ポートフォリオ管理)」、「Human Capital Management(人材管理)」、「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」、「Supply Chain Management(サプライチェーン管理)」、「Government Risk and Compliance(内部統制リスクとコンプライアンス)」の7つの製品ファミリーに含まれる100以上のモジュールで提供する。Oracleの既存アプリケーションに加えて、サードパーティーのアプリケーションとも共存可能である。

 初期採択した200社以上の実績などを踏まえて、今回、GA(Generally Available:本番運用に適した品質の製品版)のリリースとなった。また、同日にラリー・エリソンCEOから新サービス「Oracle Public Cloud」が発表され、ユーザーは、ハードウェアの購入やソフトウェアのサポートなしでFusion Applicationsの機能をサブスクリプションモデルで利用できることになった。加えて、「iPad」や「iPhone」をはじめとするモバイル端末やスマートフォンへの対応も実現した。

 セッションの中で、ミランダ氏は既存の業務アプリケーションについても言及。Oracleは相次ぐ企業買収によって、CRM製品「Siebel CRM」、タレント管理製品「PeopleSoft Enterprise」、ERP製品「JD Edwards EnterpriseOne」など、さまざまなアプリケーションをラインナップしている。Fusion Applicationsの登場によって、これらの既存アプリケーションがなくなってしまうのではないかという懸念もユーザーにある中、「(既存アプリケーションについては)今後も引き続き投資していき、ユーザーの選択を増やす」と力を込めた。

先行ユーザーの声も

 同セッションの最後には、Fusion Applicationsを先行して採用したユーザー企業によるパネルディスカッションも行われた。登壇したのは、アルミニウム製品メーカーの米Alcoa、コーヒー販売の米Green Mountain Coffee Roasters、米エネルギー省傘下のPacific Northwest National Laboratory、金融サービスの米Principal Financial Groupの4社。

 例えば、Green Mountain Coffee Roastersは、Oracleが買収する以前からPeopleSoftやSiebel、業績管理ソフトウェア「Hyperion」のユーザーだったが、今後さらなるビジネス拡大に向けて「サプライチェーンとタレント管理に課題があった」とCIO(最高情報責任者)を務めるジム・プレボ氏は述べる。

 そこで、パートナー・リレーションシップ管理を活用した間接販売チャンネルの効率化と、営業およびマーケティング・プロセスが一元化されたソリューションによる営業効率改善、そして事実に基づく統一された顧客情報の作成を行う上で、「Oracle Fusion CRM Public Cloud Service」の導入を決めたとしている。

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