現代版桃太郎はベンチャー経営者になれるだろうかオルタナティブ・ブロガーの視点

ベンチャー企業の経営者に必要なものは何なのか。昔話「桃太郎」を題材に、自身もベンチャー経営者であるオルタナティブ・ブロガー大木豊成氏が解説します。

» 2011年10月29日 12時00分 公開
[大木豊成,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「走れ!プロジェクトマネージャー!」からの転載です。元エントリーはこちら。)


 自分自身ベンチャー経営者としてのあるべき姿をいつも模索しており、東奔西走していると言えば聞こえがいいのですが、実は右往左往しているだけかもしれない大木です。今日はちょっと松井さんのシンデレラに触発され、僕は日本の物語を選んでみました。桃太郎です。

 桃太郎の話は、神田昌典さんの「成功者の告白」という本にも書かれているのですが、ベンチャー経営者に例えられることが多いですね。大切なのは「方向性を示す」ということなんですが、桃太郎は「鬼カ島に鬼退治に行く!」と言い出します。それは「方向性を示した」ということなんだそうです。「アイデアを出した」ということのようです。桃太郎が鬼カ島に行くと言いだしため、実務者である犬がそれを実現まで導く。犬は主人である桃太郎に忠誠を尽くします。

 さらに知恵の象徴である猿が加わります。猿は鬼退治から撤退までの仕組みを作り出します。現代でいうところのシステム化。で、キジは神田さんの本では道化者と書かれていますが、愛と勇気の象徴。愛、さらに勇気をもってメンバーをまとめ上げる役割を担います。

 さて、現代に置き換えてみるとどうでしょうか。そもそもリーダーは桃太郎が適任なんでしょうか。桃太郎は、「鬼カ島に鬼退治に行く!」と言い出したものの、それはどこにあるのかを示していませんし(おとぎ話の中ではなかったような)、船で行くのか、何で行くのかも示していません。さらに、そこには金銀財宝があるということを知っていたのでしょうか。また、それらを持って帰る方法は?

 リーダーがすべてを示すことはできないでしょうし、すべての方法に精通しているはずもありません。だからメンバーを募るわけですが、桃太郎の場合はきびだんごという食べ物でみんなを引っ張った。だから、食べ物がなくなるといなくなるかもしれない。

 鬼カ島に行くという目標が、メンバーにどれだけ魅力的に映ったのでしょうか。ここが重要ですね。魅力的なら、多少険しい道のりでも、メンバーは頑張るでしょう。頑張って、さらに自分の知恵や経験で培った能力を発揮してくれます。リーダーは、メンバーが発揮してくれる能力を支援する側に回る。能力を発揮するうえで障害となるものがあれば、それを全力で取り除く。ん? これ、どこかで聞いたことがあるような。

 うーん、そう考えると桃太郎というよりは、ワンピースの主役、ルフィのほうが現代のイメージに近い気がしてきました。ルフィは、航海士が欲しい、料理人が欲しい、と必要なメンバーを考え、理想に近いメンバーを確保していきます。そのプロセスでメンバーが困っていること、障害になることを次々と排除し、解決していきます。ま、マンガですけれど。

 ルフィの方がベンチャー経営者に向いているかもしれませんね。昔々と現代では、求められているリーダー像が違うのかもしれません。カリスマ経営者もいいのですが、なかなかそういう人物が現れる可能性は少ない。さらに、スティーブ・ジョブズのような性格の人が、周りに認められるとも限りません。環境もありますよね。むしろ、ルフィのように熱い性格だけで突っ走る人間の方が必要なのかもしれません。あ、スティーブ・ジョブズの諦めない性格は必要でしょうね。これは桃太郎にも通じるのかな。

 なんだか整理がつきませんが、自分の会社をこうやって比喩してみるとって、結構面白いものです。自分を客観視しやすいですし。これからの時代を考えることをやめてはいけない、自社の将来を考え続けなくてはならない。そう感じている週末です。

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