システム監視をめぐる日本と海外のトレンド――NetIQMaker's Voice

システム監視ツールとして、日本ではエージェントレス型が好まれ、海外ではエージェント型が好まれるという。その背景にはシステム監視に対する考え方の違いがあるという。

» 2011年12月16日 20時34分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NetIQは12月6日、エージェントレス型のシステム監視ツール「NetIQ AppManager for Remote Infrastructure Monitoring」を発表した。同製品はユーザー企業の意向を受けて、日本で最初に提供を開始したという。日本と海外でのシステム監視に対する考え方などを製品企画担当マネージャの堀田昌昭氏が紹介してくれた。

製品企画担当マネージャ ビジネスデべロップメントグループ マネージャの堀田昌昭氏

 堀田氏によると、日本と海外では3つの点で顧客の要望が異なる。その3つとは、「コスト削減」「保守の容易さ」「監視項目の簡素化」。まずコスト削減では日本はツールの導入費用などに、海外では人件費などに重きが置かれる。保守の容易さでは日本がマシン1台当たりの作業工数に台数を掛け合わせたもの、海外では1回の設定における工数である。監視項目の簡素化の点では日本はカスタマイズによる詳細な項目での監視を、海外では定義済みの項目を活用するシーンが多い。

 上記の点での違いを踏まえ、システム監視ツールとしては日本ではエージェントレス型が好まれ、海外ではエージェント型を好まれる傾向にあるという。日本の場合は、運用管理者が持ち前のスキルやノウハウをベースにツールを活用して業務を行う。海外の場合、人材の入れ替わりが多いことを前提に人に依存せず、ツールによる業務の自動化や効率化を重視する向きが強いとのことだ。

 同社がエージェントレス型ツールを日本で先行発売した理由は、従来からのこうしたユーザーの意向に違いを踏まえたものだが、堀田氏は、日本のユーザーも海外のようなシステム監視手法を模索しつつあるとも話す。その背景にあるのが、多くの企業が進めている仮想化だという。

 「仮想マシンが増えていくと、従来のようなシステム監視が難しくなるという課題があります。何をどう監視すべきかを再考してみて、ツールが始めから持っている内容でも十分に通用するケースが少なくないようです」(堀田氏)

 また経営サイドからのIT運用のコスト削減要請も強まっているだけに、限られた人材で増えるばかりマシンを手作業で管理していくことには、おのずと限界が生じる。その結果として、人的なミスが起こるリスクも高まってしまう。

 そのためには、エージェント型ツールやワークフローツールなどを用いてシステム監視を自動化し、運用管理者の業務を効率化していくことが解決策の1つになるようだ。海外ではこうした動きが2年ほど前から強まっているという。

 「日本でもシステム監視の自動化を試みるケースが少しずつ広まっており、将来的にもっと広がっていくかもしれません。当社としては、エージェントレス型のツールによるコスト削減でも、エージェントと自動化ツールによる新たな試みでも、今後もユーザーの意向に応えていきたいと思います」(堀田氏)

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