レッドハット、RHEL 5/6のサポート期間を10年に延長 基幹系システム向けサポートも拡大

レッドハットは、Red Hat Enterprise Linux 5/6のサポート期間を10年に延長した。基幹系システム向けサポートサービスの適用範囲も広げた。

» 2012年04月12日 08時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo 米Red Hatのジム・トットン副社長 兼 プラットフォーム事業部門長

 レッドハットは4月11日、Linuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux」(RHEL)5/6のサポート期間を従来の7年から10年に延長し、RHEL 5を2017年、RHEL 6を2020年までサポートすると発表した。

 RHEL 5/6のサポート期間は、全ての新機能や新ハードウェアに対応するフェーズ1(5年半)、いくつかの新機能やセキュリティアップデートに対応するフェーズ2(1年)、バグフィックスや重要なセキュリティアップデートに対応するフェーズ3(3年半)で構成される。RHEL 3/4のサポート期間は従来通り7年だが、オプションで3年間の延長サポートも提供するという。

 業務システムのOSバージョンアップは機能強化が期待できる一方、APIの変更によって従前のアプリケーションやハードウェアが使えなくなってしまう場合もある。そこで同社はRHELのサポート延長を通じ、顧客の既存のハードウェア/ソフトウェア資産を保護し、顧客がシステムを刷新するタイミングを調整しやすくするという。米Red Hatのジム・トットン副社長 兼 プラットフォーム事業部門長は「(業務システムの)イノベーションと品質のバランスを担保する」と強調した。

photo 三菱東京UFJ銀行の村林聡 常務執行役員

 ユーザーの代表として登場した三菱東京UFJ銀行の村林聡 常務執行役員は、「金融サービスを提供する銀行のシステムは高い信頼性や安全性が求められるため、その基幹となるOSは長期間安定して使えることが利用の前提になる。標準サポートが10年間になることで、基幹システムにLinuxを使うのがチャレンジではなく自然なことになるだろう」と話す。

 さらに同氏は「当社はオープンソースの進化・発展のためには多くのユーザー企業が改善点を発信することが重要と考え、サポート強化に関するさまざまな要望をコミュニティや関連ベンダーを通じてリクエストしてきた。今回のサポート延長は、われわれの活動が(レッドハットに)受け入れられた結果だと思う」とコメントした。

 併せてレッドハットは、2008年からOEMパートナーを通じてRHEL 5向けに提供している基幹系システム向けサポートプログラム「Red Hat Advanced Mission-Critical Program」(AMC)を、RHEL 6向けにも提供すると発表した。また、AMCを適用している場合のRHEL 5のサポート期間を13年(2020年まで)に延長することも発表した。

 AMCは、ユーザーからのサポート問い合わせへに対する迅速な応答や、問題解決プロセスの提供、問題の根本原因の分析などをSLA(サービスレベル契約)として保証するというプログラム。現在、富士通、日立製作所、NECが同プログラムを提供している。また、ユーザーはRHELのマイナーバージョン(RHEL 5.X/6.Xなど)にAMCを適用すれば、AMC提供元の企業から最大6年間の延長サポートを受けられる。

 レッドハットの廣川裕司社長は、「日本はいまだに1万台以上のメインフレームが稼働している特殊な市場」と指摘。その上で、今回のRHEL 5/6のサポート延長やAMCの適用範囲の拡大を通じて「50年続いたメインフレームの時代が今年から変わる」「“ガラパゴス化”した日本のICT環境を、世界に先駆けたICTに進化させていく」と意気込んだ。

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