グーグルは、米国の「e-Discovery(電子情報開示)」制度への日系企業の対応を支援するサービスを始める。
グーグルは5月8日、企業向けのグループウェアサービス「Google Apps for Business」の追加サービスとして、データ保全やe-Discovery(電子情報開示)を支援する「Google Apps Vault」を発表した。1アカウント当たり月額600円で提供する。
米国では2006年の法改正によって、民事訴訟の際、企業や組織には、関連する証拠やデータの速やかな提出が求められるようになった。猶予期間はケースバイケースだが、「直ちに関連する電子データを保全し、可能な限り速やかに提出する必要がある」(Google エンタープライズ部門 Eディスカバリ統括 ジャック・ハルプリン氏)。こうした要請に応えるには、相当の容量に対応可能なアーカイブシステムを構築する必要があったが、そのコストや検索の手間が企業にとって負担になっていたという。
Google Apps Vaultはこうした問題を解決するためのサービスだ。米Googleが2007年に買収したPostiniの技術をベースにしており、企業が日々やり取りする電子メールや文書などを、必要に応じてすぐに取り出せるような形でグーグル側で保管する。これらのデータは、「企業ごとのポリシーに基づいてアーカイブし、柔軟に検索することができる」(ハルプリン氏)。
同サービスが提供する機能は、大きく分けて「リテンション(保全)」と「ディスカバリー(検索)」の2つだ。リテンション機能では、日時やキーワード、送受信者やデータの種別といった情報を組み合わせた「ルール」に従って必要な情報を検索し、対象データを変更不可能な形で保管する。ディスカバリー機能では、こうして保全されたデータを監査可能な形で閲覧できる。結果をCSV形式でエクスポートすることも可能だ。なお、マルチバイトにも対応しており、データ保全期間および容量に制限はないという。
Google Apps Vaultの当初の管理対象はGmailおよびチャットだが、将来的にはGoogle DocsやGoogle Driveなど、Google Appsの全データに拡大する予定だ。これにより、「『取引先へのメールのCCには、常に上司のアドレスを入れること』といったルールから解放される」(グーグル エンタープライズ部門 シニアプロダクトマーケティングマネージャ 藤井彰人氏)という。
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