NEC、独自CPU採用のメインフレーム新型機を発表――ビッグデータ連携も視野に

「ACOS」シリーズの最上位モデルとして自社開発の「NOAH-6」プロセッサを搭載する。部品のモジュール化による保守性や信頼性の向上も図った。

» 2012年06月28日 19時39分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NECは6月28日、メインフレーム「ACOS」シリーズの大型機の新製品「i-PX9800/A100」を発表した。利用規模に応じた25機種をラインアップする。標準レンタル価格は月額950万円(税別)からで、9月28日に出荷を開始する。

 i-PX9800/A100は、新たに独自開発した4コアCPU「NOAH-6」を搭載。Intel Itaniumプロセッサを搭載する現行機の「i-PX9000/A300」に比べてCPU性能が3.5倍に向上しているという。NOAH-6を最大8基(32コア)まで密結合可能な「高速クロスバー」も同時に開発。入出力系の性能も向上し、入出力性能で4倍、データ転送で2倍などになった。

 信頼性や管理性の点では「命令リトライ」「プロセッサリリーフ(故障時の処理を別のCPUが引き継ぐ)」「メモリ二重化」など従来機からの特徴を継承している。また、i-PX9800/A100の新機能としてマシンを物理的、論理的に分割できるようにしたほか、部品を全てモジュール化しており、故障時にはモジュール交換だけで対応できるようにした。メモリモジュールやCPUボードなどを無停止で交換でき、ファームウェアのアップデートも可能になっている。

 i-PX9000/A300に比べて消費電力を60%削減し、設置面積も33%縮小した。

i-PX9800/A100(16CPUモデル)の内部(左)とモジュール交換のデモ
信頼性を支える機能群(左)。NOAH-6プロセッサを持つサーバ事業部の中島義博事業部長代理

メインフレーム事業は今後も“柱”

 メインフレーム事業について、ITハードウェア事業本部 サーバ事業部の中島義博事業部長代理が説明。同社が実施した顧客企業への調査から、約7割がACOSを継続して利用する意向を示したといい、オープンシステムへの移行を検討する企業もある中で、「メインフレームに対するニーズは今なお高く、当社にとっても収益性の高い基幹事業であることに変わりない」と述べた。

 ItaniumからNOAH-6への変更については、「大型機に対する高性能化のニーズが非常に強く、自社開発する方がニーズに応えられると判断したため」という。ACOSシリーズでは中型機でItaniumを採用しているが、「このゾーンは現行のままでも性能ニーズを満たせるだろう」と、今後も搭載を継続する方針。なお、NOAH-6は2001年に開発した前モデル「NOAH-5」での技術ノウハウを活用したことで、開発コストを半分に抑えたという。

 同社はまた、i-PX9800/A100を皮切りにメインフレームマシンとビッグデータ対応システムとの連携をユーザーに訴求して、利用シーンを広げたいとしている。i-PX9800/A100では同社製のビッグデータ対応データベース製品「InfoFrame Relational Store」との連携が考慮され、ビッグデータ分析の際に基幹業務システムのデータを反映できるという。

ビッグデータ対応イメージ

 中島氏が示した適用イメージでは、例えば流通分野ならインターネット上の口コミ情報や販売実績などを分析し、在庫や配送、仕入れ計画と組み合わせて売れ筋商品をタイムリーに投入できる。製造分野なら出荷した製品や部材に不良品が発生した際に、過去の膨大な生産管理データを分析して原因となった時点や製造ライン、工程などを特定できるとしている。製造分野の適用については顧客企業の要請があり、既に実証を開始しているという。

流通分野(左)と製造分野での適用イメージ

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