異なる国や文化の人たちとの意思伝達が成功するとき、その中で言語コミュニケーションが占める割合は1〜2割程度だそうです。
国際競争が激化し、より素早い対応を迫られるようになる中、コミュニケーションを円滑に行う必要性がますます高まっています。異文化間のトラブルや問題にはかかわりたくないが、顧客や契約、協力者はつなぎ止めたいなどという虫のよい話は通りません。文化によるコミュニケーションの違いに大きな影響を受け、誤解やいさかいが生まれると、プロジェクトは失敗、契約もご破算といった事態に陥る恐れがあるのです。
例えば、非言語コミュニケーションは、文化によってさまざまで、言葉を勉強するだけではなかなか理解できません。個々人の非言語的習性は、違う言葉を話しているときでも普通は変わらないものです。けれども、これが意思伝達の成功を左右する重要な要素となっています。科学者の分析によれば、そうした影響のうち、言語コミュニケーションが占める割合はおよそ10〜20%だそうです。すなわち、多くの場合は非言語的な合図が意思決定を促しており、非言語コミュニケーションは必要不可欠なものと言えるのです。
非言語コミュニケーションの例としては、話すときのイントネーション、アクセント、声の大きさ、間、表情、ジェスチャー、アイコンタクト、ボディランゲージなどが挙げられます。服装や装飾品などの物質的なアイテムも非言語コミュニケーションの一部であり、それらを身に付けている人の思考や地位をはじめとする多くのものを物語ります。
そのほか、コミュニケーションを図るために使われるプレゼントも、非言語コミュニケーションの一種です。相手を待たせる時間もまた、待たせている側の姿勢を表す非言語コミュニケーションに含まれます。非言語コミュニケーションは意思伝達のさまざまな面をカバーしているため、個人が発する非言語的なメッセージをとらえることはきわめて大切です。
自らの振る舞いを自覚し、異文化に独特な行動を注意深く観察して学び続ければ、ほとんどの異文化摩擦は避けられます。偏見を捨て、相手の発する非言語的なメッセージを意識的に汲み取るよう努力してみましょう。異文化とうまく付き合っていけるようになりますよ。他者の非言語的な行動から正しい答えを引き出せれば、成功を引き寄せることができます。まずはそうした合図に注目し、吸収すること。その次にこれを正しく理解して、答えを導き、適切なやり方で反応を返すこと。これらができるなら、異文化間を渡り歩くのも怖くはないはずです。
次回は、非言語コミュニケーションをより詳しく見ていきましょう。
ジャスミン・A・ワグナー(Jasmin A. Wagner)
ドイツ、ハンブルク出身。2歳の時に両親とともにヨットで世界一周の旅に出発。その後15歳になるまで世界30カ国以上を訪れる。この旅についてのニュースは世界中で評判になり、韓国で絵本が出版され、日本でも多くのメディアで紹介される。アジアには10〜15歳まで滞在。そのうち4年間は奄美大島に滞在。その後も両親は旅を続け、自分は1人でドイツに帰国。優秀な成績で学業を修め、経営管理学ディプロマ Diplom-Betriebswirt(BA)を取得。ドイツの有名自動車企業に就職後、28歳でエグゼクティブに抜擢される。
世界中の支社で働くうちに、それぞれの国に大きな特徴、強み、弱みがあることに気づく。コミュニケーションスキルでビジネスの成功に大きな差が出ることを痛感。ニューヨークにてイメージコンサルティングスキルを学ぶ。キャリアの傍ら、グローバルコミュニケーションやイメージコンサルティングセミナー、トレーニングを展開する。独、仏、英語、日本語を話す。空手初段。
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