アクセンチュアが提示する6つのキートレンド

今後数年の間でビジネスに影響をもたらすICTキートレンドを示した「Accenture Technology Vison 2012」をアクセンチュアが発表した。

» 2012年07月25日 19時15分 公開
[ITmedia]

 アクセンチュアは7月25日、ICTトレンドに関する同社の見解を示した「Accenture Technology Vison 2012」を発表した。

 Accenture Technology Visonとは、今後3〜5年の間に経営やビジネスに影響を与える情報技術を見極めて、企業、団体、政府がこうした最先端技術を活用する際の指針を提示するというもの。同社の研究機関「Accenture Technology Lab」や科学者、アーキテクト、エンジニアなど社内外の有識者が参画し、選定していくのだという。

 今回提示されたのは、(1)嗜好・行動様式に応じたITサービス(2)ソーシャルと企業ITの統合(3)新旧データの融合(4)工業化されたデータサービス(5)クラウドで実現する機敏なIT(6)セキュリティに対する発想の転換、という6つのキートレンドである。このようなキートレンドが導き出される背景には、「コンシューマーIT」の台頭があるという。

アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 イノベーション&アライアンス統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏 アクセンチュア テクノロジー コンサルティング本部 イノベーション&アライアンス統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏

 同日に行われた記者説明会で、同社テクノロジー コンサルティング本部 イノベーション&アライアンス統括 エグゼクティブ・パートナーの沼畑幸二氏は「(ソーシャルメディアやスマートフォンなど)日常でのIT活用は進化しており、新しいイノベーションがどんどん起きている。今やコンシューマーITとエンタープライズITとの融合段階に突入している」と説明する。つまり、企業においてもコンシューマーITが実現した価値が重要になってくるという。

 主なキートレンドを具体的に見ていこう。嗜好・行動様式に応じたITサービス(Context-based services)では、スマートフォンやソーシャルメディア、クラウド、センサーネットワーク、企業内の顧客情報などのデータを集約、解析し、顧客や従業員が今どこで何を望んでいるかを把握して、付加価値のあるサービスを提供する。この実現に向けて企業が取り組むべきことは、顧客の状況を判断するデータソースを把握するほか、データ解析に長けた人材の獲得、強化だという。

 次は、ソーシャルと企業ITの融合(Social-driven IT)だ。今後、ソーシャルメディアは企業と顧客の新しい接点として、マーケティングだけでなく新しい収益源として活用できる。そのために、企業内のあらゆる業務においてソーシャルの活用を考える必要があるという。具体的には、部門横断でソーシャルメディアを検討、運営するチームの設立が望まれる。

 新旧データの融合(Converging data architectures)においては、非構造化データと既存データを統合する新たな技術が必要になる。そのために、Hadoopやクラウドといった大量データを蓄積して処理する技術により注目が集まるという。

 工業化されたデータサービス(Industrialized data services)を企業が実現するには、データに関する技術やプロセス、方法論、人材を再定義するほか、データの公開、交換、評価方法の検討を行うべきだとしている。

 以上のように、新しい技術を企業が積極的に取り入れることによってビジネス価値の創出を目指す声がある一方で、「目的や効果が不明瞭なまま導入の検討を進めることへの懸念が存在するのも事実だ」と沼畑氏は述べた。

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