ビジネスにも役立つワイン用語選松浦尚子のワイン&コミュニケーション

お客様の接待や友人との会食において、ワインの話題が上ることがあります。そうしたときに知っておきたい基本的なワイン用語を紹介します。

» 2012年07月27日 12時15分 公開
[松浦尚子(サンク・センス),ITmedia]

 ワイン好きのお客様や上司、同僚とワインを囲んで食事をすると、小耳に挟んだことはあっても意味の分からないワイン用語が出てきて、口数が少なくなってしまうことがあるのではないでしょうか。この機会によく耳にするワイン用語をピックアップして、簡単に説明したいと思います。

ソムリエ

 フランス語で、レストランのワインサービスを担当する専門者を表します。ドクターのような職種名です。日本では、実際に飲食業で通算5年以上のサービス経験がないと、ソムリエの資格を取得できません。

ホストテイスティング

 レストランでボトルを注文した際に、ワインが健全かどうかを判断する目的で、最初に少し注がれたワインを味見すること。その際に「OK」を出しても、食事を進めるうちに香りなどどこかおかしいと思えば、その時点で臆することなくお店の人に申し出て、意見を求めてみましょう。必要に応じて交換してくれます。

ブドウ品種

 時折耳にする、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどというのがブドウ品種名で、主に白ブドウと赤ブドウの区別があります。お米でいう、コシヒカリなどと同じです。日本酒以上にブドウ品種の特性はワインに際立った個性、つまり特有の香りや味わいを与えます。結果、人によってブドウ品種(=ワイン)の好みが異なり、ワイン選びのよい指標にもなります。

木樽(バリック)

 一部の良質なワインは、醸造後に小さな木樽で熟成させます。完全な密閉性はないため、ほどよい空気との接触により酸化的熟成が促され、まろやかさが増します。同時に、樽材からバニラなどの香りやタンニンが抽出されてワインの香味が一層複雑になります。フランス産オークの小樽(約225リットル=300本分)が最上級で、日本では輸入新樽は1つ10万円近くもします。

天然コルク

 16世紀後半から安定性に優れたワインボトルの栓として使用されてきた長い歴史を持っています。コルク樫の木の内皮から作られ、ポルトガルが一大生産地です。長い熟成を要する高級ワインほど、長く、弾力性のあるキメの細かいコルクを用います。

ドン・ペリ

 正しくは、ドン・ペリニョン。世界に名を知られるシャンパンメーカー、モエ・エ・シャンドン社の最高級プレスティージュ品で、17世紀にシャンパン製造の歴史の中で多大な貢献を残した、修道僧ドン・ペリニョンにちなんで名付けています。


 最後に、ワインには、各々のワイン歴や好みがあるため、「高いワインほど美味しい」という方程式が成り立ちません。10万円のワインが1万円のものよりも10倍おいしいという明確な尺度もありません。高いから選ぶ、高いからおいしいのではなく、このワインのこの個性が私は好きだと言える人が素敵だなと思います。

著者プロフィール

松浦尚子

(有)サンク・センス代表取締役社長

ボルドー国立大公認ワインテイスター

神戸大学教育学部卒。教育・出版会社ベネッセコーポレーションに勤めた後、フランスに渡り、世界の権威であるボルドー大学ワイン醸造学部が主宰する、日本人では数少ないワインテイスター専門家資格を取得。広島県の第3セクターのワイナリー設立にかかわり、米国・ボストンを本拠地とする投資会社に籍を置いて、日仏間で働く。通算5年間フランスに滞在した後、2002年秋に帰国。滞在中には、難関フランス文部省認定のフランス語資格試験DALFも全て取得する。帰国後、2003年4月に有限会社サンク・センスを設立し、代表取締役に就任。「フランス、ワイン、食」をテーマに、さまざまな切り口からこれまでにない発想でワインセミナー、イベントを中心にプロデュースを行う。2005年1月に立ち上げたサンク・センスワインCLUBには、ワインを軸に旅やグルメ、趣味など幅広い分野に関心を持つメンバーが集い、これまでにない質の高いコミュニティを形成している。また、フランス大使館主催事でのプレゼンターや六本木ヒルズクラブでのワイン講師、経営者を中心としたビジネスマン向けのワイン講演も数多くこなし、実績は多数。これまでに取り上げられた新聞、雑誌、ラジオ出演は数え切れない。富裕層向け雑誌や、大手都市銀行が運営するビジネス情報サイトなどでコラム連載も手掛け、多彩に活躍している。


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