ビッグデータ活用の切り札、ストリームコンピューティングで顧客企業を変革するウルシステムズ(2/2 ページ)

» 2013年02月21日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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ストリームコンピューティングはもっと身近に

IBMではビッグデータ活用のエンジンとして、「Hadoop」「ストリームコンピューティング」、そして「DWH」の組み合わせを提案している

 リアルタイム処理のためのミドルウェアでウルシステムズが注目しているのは、日本アイ・ビー・エムの「InfoSphere Streams」だという。

 「ルールエンジンから派生し、リアルタイム処理向けに拡張された製品が多い中、InfoSphere Streamsは出自が違う。複数のサーバに対し縦横無尽にロジックを分散配置できるアーキテクチャーとなっているため、どんなに大規模なリアルタイム処理であっても対応できるスケーラビリティがある」と話すのは、ウルシステムズでプロフェッショナルサービスを担当する桜井賢一部長。

 InfoSphere Streamsでは、アプリケーションを開発したり、ルールを書くにも独自のプログラミング言語の理解が必要だが、そこはF1ドライバーと同じ。乗りこなすには技術を習得しなければならない。ただし、普通のプログラマーであればすぐに慣れるだろう。ウルシステムズでも数日でプロトタイプ開発のデモが動くようになったという。「簡単なプロトタイプを顧客企業に見せると、“そんなこともできるのか?”と驚かれる」という(編集部注 新バージョンではドラッグ&ドロップによる直観的な操作で開発できるように更に改良された 別記事参照)。

 「ストリームコンピューティングは、旧来のようにきっちり要件定義をしてから開発するようなものではない。特定の業務の中で使いながら、顧客のナレッジを活用して進化させていくもの。大きなチームも必要ない。適用領域を絞り込むことですぐに使えるシステムになる。ソーシャルデータのリアルタイム分析など日本語の解析ノウハウが必要になることもあるが、そこは技術屋の腕の見せどころだ」と桜井氏は話す。

 データ分析においてはデータサイエンティストの不在が問題視されることが多いが、「企業の中でデータにどっぷりと浸かっていて、それを使いこなしている人がいれば、初期の段階で十分成果は出せる」とも。InfoSphere Streamsには、金融、通信、流通といったインダストリーごとにすぐに分析に活用できる「アクセラレーター」も用意されており、短期間でプロトタイプを作成できるという。

 分析は仮説形成から始まる。業務を理解している人は顧客企業にいるし、育てることもできる。「ストリームコンピューティングは技術進歩によりすぐ手が届くところにまできている。知恵を形式知化することがポイントであり、数年もすればもっと身近なものになる」と桜井氏は期待する。

 情報システム部門のあるべき姿がしばしば議論のテーマに挙がるが、「データの入れものを気にする情シスから中身を気にする情シスに、データを守る情シスから活用を促す情シスになるべきだ。ストリームコンピューティングなどの技術を使えば、これまで不可能だった新しい領域をITで切り開くことができる。しかも手組みではなく、ミドルウェアで出来てしまう時代になった」と漆原氏は話す。

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