日本のパブリッククラウドは企業ニーズを満たしていない、HPのべグティCOOトップインタビュー

「コンバージド・クラウド」戦略を掲げる米HP最高執行責任者のビル・べグティ氏に、戦略の内容や日本でのパブリックサービスの展開などについて聞く。

» 2013年06月26日 10時30分 公開
[聞き手:國谷武史,ITmedia]

 米HPは、6月25日に中国・北京で開催したアジア太平洋地区向けのカンファレンス「HP World Tour」で、「コンバージド・クラウド」というクラウド戦略での施策を発表した。最高執行責任者(COO)のビル・べグティ氏に、その狙いや日本市場に対する取り組みなどを聞いた。

―― 「コンバージド・クラウド」とは何でしょうか。

HP最高執行責任者のビル・べグティ氏

べグティ クラウドにはパブリック、プライベート、顧客資産を預かるマネージド、それらを組み合わせるハイブリッドといった利用モデルがあります。コンバージド・クラウドとは、これらの形態をユーザーが必要に応じて最適な形で利用していける仕組みを提供するものです。

 クラウドではユーザーが自ら構築するのか、サービスを利用するのか、調達先やプラットフォームはどうするかといった多様な選択肢が重要です。ですが、そこではセキュリティや可用性、パフォーマンスなどにおいて一貫性が確保されなければなりませんし、一貫性があることによって信頼あるクラウドを実現できるわけです。

 HPとしては、たくさんの選択肢から企業が最適なモデルを選ぶことのできる取り組みを進めています。クラウドの構築ではハードとソフト、テクノロジーサービスなどのベストプラクティスを提供できる「CloudSystem」がありますし、クラウドの利用ではエンタープライズレベルのSLAと信頼を実現したサービス基盤をOpenStackベースの「HP Cloud OS」やハード、ソフトなどによって構築しています。

 これらは極めてオープンかつ透明性の高いものであり、クラウドにありがちな“ブラックボックス”“ベンダーロックイン”をユーザーが回避できるようにすることで競合との差別化を図れるだろうと思います。

―― 日本ではハイブリッドモデルが主流になることを見込み、ベンダー各社がパブリックサービスを強化しています。日本のパブリッククラウド市場をどうみていますか。

べグティ パブリックサービスとうたいながらも、実際にはマルチテナントではなく、プライベートクラウドの運用支援に似たようなサービスである場合や、エンタープライズグレードのSLAを実現できていないもの、日本市場に強くコミットしつつも実現性に不透明さが残るサービスなど、まだ初期段階にあるのではないかとみています。

―― HPでもグローバルではパブリックサービスを提供していますが、日本のユーザーには利用しづらいなど不十分な面もあるのではないでしょうか。日本向けに本格的なサービスを提供する計画はありますか。

べグティ われわれは、極めて遅延の無い、エンタープライズグレートのSLAによる高品質なサービスを十分な形で日本の顧客に提供しなければならないと考えています。それも、先ほど述べたコンバージド・クラウドを実現する形でないといけません。

 時期について明言はできませんが、日本の顧客ニーズを全て満たすことができるように、準備を入念に進めている真っ最中です。

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