パートナーとの強力タッグでITメガトレンドをばく進 Microsoft・バルマーCEOMicrosoft Worldwide Partner Conference 2013 Houston report

全世界のパートナー企業に向けて米Microsoftの新年度の戦略やビジネスの方向性などを示す「Microsoft WPC 2013 Houston」が開幕した。

» 2013年07月09日 14時04分 公開
[伏見学,ITmedia]

 これまで難しいとされてきたシェール層から石油や天然ガスの採掘が可能となった“シェールガス革命”によって、米国経済は大きなにぎわいを見せている。とりわけ20世紀初頭から石油および天然ガスを中心とするエネルギー産業で発展を遂げてきたテキサス州ヒューストンでは、世界中から関連企業の進出が相次ぐなど、景気が上向いている。

 そのヒューストンのダウンタウンに位置するジョージ・R・ブラウン・コンベンションセンターならびにトヨタセンターにおいて、7月8日(現地時間)、米Microsoftによるビジネスパートナー向けの年次カンファレンス「Microsoft Worldwide Partner Conference(WPC) 2013 Houston」を本格的に開幕した。

トヨタセンターで行われたWPC 2013初日キーノート会場の様子 トヨタセンターで行われたWPC 2013初日キーノート会場の様子

 7月に新たな会計年度がスタートする同社にとって、WPCは、世界43万社のパートナー企業に対して事業の方向性を示す重要なキックオフイベントである。なぜならば現在、Microsoftの売り上げの実に95%がパートナービジネスによるものだからだ。今年のWPCには、160カ国から約1万2000社、1万6000人(前年比5%増)のパートナーが来場。うち3000社が初参加となった。日本からは約150社、350人が参加している。

 今回のWPCのトピックスは、「クラウド」、「ビッグデータ」、「エンタープライズソーシャル」、「モビリティ」という4つのITトレンドに集約される。オープニングのキーノートに登場したスティーブ・バルマーCEOは、それぞれの領域に対して「製品ラインアップがそろった。パートナーと我々が一丸となり、目の前の素晴らしい勝機に向かっていくのだ」と声高々に宣言した。

クラウドがオンプレミスを凌駕

米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO 米Microsoftのスティーブ・バルマーCEO

 クラウドについて、バルマー氏は「最終的にはすべての企業にパブリッククラウドが導入される」と語る。同社のパブリッククラウドサービスは「Microsoft Windows Azure」や、オフィススイートとコラボレーションツールから成る「Microsoft Office 365」が主力。Azureのユーザー数は25万に達し、Office 365は、過去1年間で販売パートナー数がオンプレミス版の販売パートナーの数を超えるなど好調だ。また、15万社以上のパートナー企業がOffice 365やその他のクラウドサービスを販売している。

 「もはやクラウド事業者は低コストで低遅延のクラウドインフラを提供しなければならない。データ保護などのセキュリティも重要だ。マイクロソフトは約100万台のサーバを運用するなど、データセンターへ多大な投資を続けている」(バルマー氏)

 特にバルマー氏が強調するのが、ハイブリッドクラウドへの対応だ。63%のユーザーがパブリッククラウドとプライベートクラウドの双方を実現できる事業者を探している。「そうした顧客ニーズに向けて、品質、スピード、パフォーマンスの面で日々改善を重ねている」とバルマー氏は説明する。

この1年でモビリティ分野を強化

 ビッグデータに関しては、人によって意味合いが異なり、マーケットは初期段階にあるため、同社としても競合他社に先駆けてさらに追求していく必要があるという。その中核となるソリューションがデータベース製品「Microsoft SQL Server」だ。先月にはインメモリによるOLTPの高速化などを実現する最新版「SQL Server 2014 CTP1」をアナウンスした。また今回、クラウドベースのデータプラットフォーム「Power BI for Office 365」という新サービスを発表した。これは、Excelや社内システム、さらにはWebサイトにあるさまざまなデータを統合して、そこから必要な情報を高速に検索し、洞察を得ることができるというもの。同社では“セルフBI”とも呼んでいる。

 エンタープライズソーシャルは、Windowsデバイス、インターネット通話サービス「Skype」、コラボレーション製品「Microsoft Lync」、メールシステム「Microsoft Outlook」、企業向けSNS「Yammer」、コラボレーションソフトウェア「Microsoft SharePoint」、CRMソリューション「Microsoft Dynamics」などの製品・サービスから成る。それぞれを組み合わせて企業における人と人とがリアルタイムにコミュニケーションを取ることで、社内外でより生産性を高めることが可能になるとしている。

 モビリティについては、モバイルOSの最新版「Windows Phone 8」やOS最新版「Windows 8.1」、タブレットPC「Microsoft Surface」を発表、リリースするなど、この1年間で急速な進化を遂げているという。さらに同日には、Windows 8.1のOEM向けRTMが8月後半に提供開始するとの発表がなされた。「マイクロソフトのモバイルは、ビジネスと日常生活をシームレスにつないでいく」とバルマー氏は力を込めた。

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