Excelで業務システムを作る!田中克己の「ニッポンのIT企業」(2/2 ページ)

» 2013年10月08日 08時00分 公開
[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia]
前のページへ 1|2       

業務の8割を支援

 1つは、2013年9月からStiLLのテンプレート「業務仕掛80%」の品ぞろえを拡充し始めたこと。当たり前のことだが、ユーザーが求めるシステムを作るには、パッケージを利用するか、一から開発するかになる。パッケージを利用しても、カスタマイズが必要になることも少なくない。そこに、業務の8割の機能を備える「業務仕掛80%」を使えば、ユーザーは、例えば、会計システムとの接続など残り2割の部分を作り込んでシステムを完成させられる。

 目下のところ、集計テンプレートや見積もりテンプレート、定期コンタクトメールシステムなどを用意し、ダウンロードすれば利用できる。「こんなことができる」(内藤社長)との宣伝の狙いもあって、無料のテンプレートもある。

 もう1つは、ビジネスの計画、実行、管理を推進するグループウェア型ポータルシステムを用意したこと。元々、ILI総研の社内で使っていたもので、業務の手順、やり方といった業務フローを共有化するもの。メニューから詳細なデータを見て、業務の効率化を図れるという。

 これらに加えて、IT企業との協業を推進する。例えば、ERPの周辺システムをスクラッチで開発したらコストがかかる。そこで、その部分にStiLLを使って、開発費を抑える。IT企業がユーザーにそんな提案をし、競争に打ち勝って案件を獲得してもらう。そんなツールにも使えるというわけだ。

 StiLLは「そこそこのシステムは作れる」(内藤社長)ようになった。テンプレートの拡充、販売強化などで新たなフェーズに入る。


一期一会

 内藤社長は事務機メーカー、ITベンダーなどを経て、1996年に独立し、ILI総研を設立した。コンサルティング事業を手掛けている中で、営業プロセスのテンプレートをExcelで作ろうと思って、知り合いの大学教授の教え子に頼んだ。ところが、「期待したものがいつになってもできない」。そこで、「自分で修正するので、基本的な部分だけを開発してもらった」。いわば、Excelを使ったエンドユーザーコンピューティング(EUC)を考えたのだ。それがStiLLに育っていった。

 その一方、内藤社長は、IT企業が提案するシステム構築費が高いと思っていた。「安価に作れるはず」と信じていた。StiLLはその可能性を秘めているが、労働集約型の受託ソフト開発会社からはなかなか受け入れられなかった。だが、状況は一変する。IT投資を少しでも抑制したいとするユーザーが増えており、IT企業はそれに応える必要に迫られている。そこに、協業が生まれる。65歳になった内藤社長は元気だ。

「田中克己の『ニッポンのIT企業』」 連載の過去記事はこちらをチェック!


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ