PCのログインやロックは顔だけ、NECがセキュリティ新製品

パスワード入力せずに顔認証でPCへのログインや離席時のロックなどを可能にするセキュリティソフトを企業向けに展開する。

» 2014年04月22日 14時48分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NECは4月22日、顔認証を用いたPC向けセキュリティ製品「NeoFace Monitor」を発表した。パスワードを入力することなくPCへのログインや離席時のロックなどが簡単にできるという。

 新製品は、PC内蔵カメラにユーザーの顔をかざしてPCにログインする。PC利用中も動作させることで、ユーザーが席を離れた際に自動的にPCをロックし、ユーザーが再び着席してカメラに顔をかざすとロックを解除する。PCの操作中にユーザーの背後から他人が画面をのぞき込むと、自動的に画面をロックするといった利用もできる。

PC内蔵カメラに顔をかざすだけでログインやロック解除ができる
操作中に登録のない第三者が画面をのぞき込むとロックされる

 第二官公ソリューション事業部の鈴木浩事業部長は、「顔認証を用いたシステムは香港の入国管理や大阪のユニバーサルスタジオジャパンの入場ゲートなどで納入実績がある。本人照合に必要な作業負荷を軽減しつつ、なりすましなどの不正防止ができる」と説明している。

 NeoFace Monitorは、PCなどのクライアントソフトと認証サーバソフトで構成され、Active Directoryと連携する。クライアントソフトに認証情報を一時的に保存しておくことで、社外などに持ち出すタブレットPCでも顔認証を行えるほか、認証サーバソフトではユーザーの登録や管理、ログ管理ができる。

 法人向けPCやATMなど業務用機器向けの生体認証では指紋や静脈などを利用するシステムが多数採用されている。第二官公ソリューション事業部の穂積幸雄マネージャーによれば、指紋や静脈などを利用するシステムでは高い検出精度を実現できる一方、専用の読み取り装置を用意する必要があり、コスト面や利便性に課題がある。顔認証は指紋や静脈に近い検出精度を実現しつつ、PC内蔵カメラでも使える利便性の高さに特徴があるという。

 なお、顔認証でログインやロック解除ができる機能は、一部の個人向けPCやスマートフォンなどにも実装されている。穂積氏は「これまでものは検出精度が十分ではなく、NEC独自の技術でビジネスユースに耐える水準に高めることができた」と話す。NeoFaceでは顔の部位(目や口、鼻など)の位置を用いる「多点部位検出法」や顔の特徴を情報化する「多元特徴量抽出法」、顔の向きの画像を用いる「摂動空間法」という複数の認証技術を利用している。

1台のPCを複数ユーザーで利用する場合や、モバイルなど一時的にオフラインで利用する場合にも対応する

 製品価格(税別)はクライアントソフトがPC1台あたり1万円から、認証サーバソフトが30万円。Windows環境にのみ対応するが、AndroidやiOS端末への対応も検討中。今後3年間で400社・20万クライアントへの導入を見込み、製品関連全体で100億円の売り上げを計画する。

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