「MUJI passport」に見るO2Oの実像 良品計画の次なる施策ネットとリアルをつなげる(3/3 ページ)

» 2014年06月04日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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“妄想”からコミュニケーションへ

 良品計画のマーケティングシステムでは、MUJI passportやネットストア、実店舗、自社開発のMDシステムなどから様々なデータをAmazon Web ServicesのRedshift(データウェアハウスサービス)に集約。MUJI passportとネットストアでのログデータは、Redshiftへ集約する前にTreasure Dataのサービスを利用して処理を効率化している。データの分析やダッシュボート管理などには、Tableau Softwareのツールを使用する。

マーケティングシステムの構成

 奥谷氏は、「現状では構造化データと非構造化データをとにかく集めて分析し、それを見てお客様の購買動向を“妄想”しているに過ぎない段階です。私たちがやりたいのはお客様とのコミュニケーションです」と話す。

 顧客とのコミュニケーションには、メールやWebサイト、モバイルアプリ、ソーシャルメディアなど多種多様なツールが存在する。One to Oneマーケティングの実現には、こうしたツールを組み合わせるだけでなく、内容やタイミングなど無数の条件を考慮しなくてはならない。

 「例えば、メールをよく使う人には、『洋服を買ってほしいロイヤルカスタマー』と指定するだけで幾つもあるコミュニケーションチャンネルから自動的にメッセージを発信したり、店舗派ならMUJI passportから最適なタイミングでお勧め商品を伝えたりというように、マルチデバイスに対して1つのツールからアクションできるようにしたいと考えています。それができるツールはまだ無く、自社で一から開発すべきか、パッケージをカスタマイズするか検討している段階です」(奥谷氏)

 将来のマーケティングシステムの実現に向けて、現在は蓄積してきたデータを活用し、リコメンドの精度を高めためのアルゴリズムの開発や整備を進めている。

3年後の目標

 MUJI passportのリリースから1年近くが経過し、データ分析・活用のための基盤整備も進む。奥谷氏は、「コミュニケーションをさらに深めていけるよう、もっとお客様が参加したくなるような情報を発信していきたい」と語る。MUJI passportについても、2016年頃にレジで購入する3割の顧客がアプリを提示し、売上の6割を生むような仕組みにしたいという。

 また、MUJI passportの海外展開にも取り組む。2014年はまず中国からスタートしたいとし、将来は世界中の顧客に利用してもらうことを目指す。「特に米国はモバイルCRMの先進的な市場だと思いますが、それは国土が広い英語圏だからこそ思いますぜひ日本発のデジタルマーケティングを世界に広めていきたいですね」と奥谷氏は語る。

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