ミッションクリティカル基盤でビッグデータを高速処理、日立が新技術

日立製作所が開発した「拡張型メッセージキューソリューション」は、社会インフラのミッションクリティカルな通信システムでの無停止性や高速処理、シンプル化を実現するという。

» 2014年06月11日 19時17分 公開
[ITmedia]

 日立製作所は、通信や金融、交通など社会インフラを支えるミッションクリティカルなシステムでの無停止性や高速処理、シンプル化を実現するというミドルウェア群からなる「拡張型メッセージキューソリューション」を開発した。6月10日からユーザー企業やシステム開発ベンダー向けに提供を開始した。

 拡張型メッセージキューソリューションは、インメモリ型の分散KVS(Key Value Store)技術を採用し、メモリ上にキューを配置して処理を行うことで、高速メッセージ処理基盤を実現するという。このために同社は、KVS冗長化制御やインメモリキュー管理の効率化を図るミドルウェア「拡張型メッセージキュー(Advanced Message Queue」などの新技術を開発。ミッションクリティカルシステムでの高信頼性を確保しながら、大量のトラフィックを高速に処理できる基盤の構築を可能にするとしている。

 従来型システムで採用されてきた「メッセージ・キューイング」方式は、メッセージの配信処理を担うメッセージングサーバで受信したメッセージをいったん外部ストレージなどに格納、蓄積し、順次配信していくことで、システムへ流れる情報量の平準化や即時応答を実現していた。しかし、配信性能の向上を図る上では外部ストレージがボトルネックになることが、近年に問題視されるようになってきた。

 近年は、通信速度の高速化やシステムの処理能力の向上などを背景に、いわゆる「ビッグデータ」の利活用が注目を集める。特にミッションクリティカルなシステムでのビッグデータ利用には、高信頼性と高速処理という、相反する要件を満たす必要があり、日立はこれを実現するために新ソリューションを開発した。

 新ソリューションの適用イメージとしては、トラフィックの変動が激しい携帯電話向けメールの中継システムの無停止化やシンプルなシステム構成によるコストの低減化が可能になる。チケット予約・販売システムではリクエストが殺到した場合でも設備容量を大幅に増やすことなく、エンドユーザーを待たせない即時応答性を実現する。また、今後の普及が見込まれるスマートメーターでは家庭や企業などから送られるビッグデータを処理するための基盤に活用することで、高い信頼性を担保したコンパクトなシステムを構築できるようになる。

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