コンテナ操作の職人技もデジタル化――M2Mで復権なるか? 鉄道貨物(2/3 ページ)

» 2014年09月11日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

現場力を支える生命線

 IT-FRENS & TRACEシステムは、収入管理や列車の予約受付・空席管理、コンテナや貨車、列車の運用や所在を管理するIT-FRENSシステムと、駅構内でのコンテナの所在管理やフォークリフトドライバーへの作業の指示・管理を行うTRACEシステムから構成される。EDIを介して提携する運送事業者のシステムとも連携している。

 所在の把握には、約9万個のコンテナと約8000両の貨車、約2万台のトラックに取り付けたRFIDタグと、フォークリフトに搭載されたタグ読取装置やGPS装置など利用し、各種の位置情報をIT-FRENS & TRACEでリアルタイムに処理する。

コンテナや貨車、トラックに取り付けているRFIDタグ

 なお、大量のRFIDタグの導入には一定のコストを伴うことから、通常は必要最小限の個数で賄い、必要に応じてコードを書き換え使用先を変えるケースが少なくない。しかし、同社ではコンテナや貨車、トラックを使用しない時でもRFIDタグを使い回すことはしていないという。そうしてしまうと、かえって管理が煩雑になり、輸送効率化に支障をきたしてしまうためだ。

 業務効率化の砦となるフォークリフトには、タグ読取装置やGPS装置以外にもコンテナの上下の位置を取得するセンサやPC、モニタ、カメラ、WiMAXアンテナなども搭載されている。各駅での荷役作業ではTRACEシステムから各フォークリフトのモニタに作業指示内容が表示され、ドライバーは担当するコンテナの位置を地図情報などで確認しながら、コンテナを最適な場所に積載させていく。作業状況は担当者間でリアルタイムに共有される。

JR貨物経営統括本部情報システム部の兒玉道昭副部長

TRACEシステムの導入によって荷票に基づくコンテナの作業や管理は全て廃止された。現場業務が効率化されたのはもちろん、「情報をリアルタイムに活用することで、例えば納期を急ぐ突発的な輸送依頼にも柔軟に対応できるようになり、休日などに運行する列車のコンテナ積載率も大幅に向上しました」(経営統括本部情報システム部 副部長の兒玉道昭氏)とのことだ。

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