全社最適はIT部門にしかできない――ANAとLIXILのCIOが語る未来の姿ITpro EXPO 2014 レポート(2/2 ページ)

» 2014年10月16日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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全社規模の変革はIT部門にしかできない

 小和瀬氏は、「日本人は真面目で実行能力に長けている点が強みだろう」と語る。グループ各社へSAP ERPを展開していくにあたって、業務の現場から同意を得ることが課題になるといい、業務の細分化が進み過ぎたことがシステムの共通化、標準化におけるボトルネックになっていた。

 「誤解を恐れずに言えば、業務の現場は彼らが思うベストプラクティスを全社にきちんと提案できているかということ。むしろ、IT部門の方が全社視点に長けている。システムの共通化、標準化は業務部門ではなくIT部門が主導すべきで、IT部門も決意を持って臨むべきだ」(小和瀬氏)

 ANAのITを所管するようになって6年が経つという幸重氏は、最初の3年間はITが中心だったものの、直近の3年間は業務変革も担当している。同社ではこの10年間に業務部門の依頼で多数のシステムを開発してきたが、これでは経営サイドのコスト削減要請に応えられないという。

 「コスト削減の近道はシステムを減らすこと。全社の人材は人事部門、お金は経理部門なのと同様に、ITのことはIT部門しか担えない」(幸重氏)

 このため同社では2カ月に1度、経営陣を交えたITに関する検討会を2時間にわたって実施している。「経営サイドにITへの関心を常に持ってもらうことが大切。この取り組みを10年近く続けており、ITへの理解を深めてもらえる機会になっている」(幸重氏)という。

 最後に小和瀬氏は、これからのIT部門には企業全体をリードしていく役割が求められると語った。「もちろん業務を理解する努力が不可欠で大変なことではあるものの、脚光を集める存在になるだろう」

 また幸重氏は、「IT部門はこれからの企業の変革を唯一担えるところだ。技術だけでなくビジネスプロセスも知り、日本企業の復活を支えていく」と述べている。

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