東日本大震災からもうじき4年が経とうとしているが、除染作業は今も続いている。自分たちの住む地域は本当に安全なのか。そういった住民の不安をITの力で解決した町があるという。
東日本大震災から、はや4年が経とうとしているが、今でも福島県を中心とする多くの自治体では、放射性物質の除染作業を行っている。自分たちが住む地域は本当に“安全”なのか――。そんな住民の不安を和らげるシステムが導入され始めているという。
福島県川俣町は、震災後から町内のさまざまな場所で放射線量(空間放射線量率)を定点測定し、Webページで公開する取り組みを行っている自治体の1つ。人体への影響に不安を持つ住民とともに、震災後に川俣町から離れてしまった住民に対して、どのエリアがどのくらい安全なのかを報告するためだ。
同町は2012年3月に測定データとWeb上の地図データを連携させた「放射線量マップ」を役場のWebページで公開。町内の各地点の線量が一目で把握できるようになっている。
放射線量の測定は太陽光発電で動作する専用機器(モニタリングポスト)や職員が線量計を使って行っている。取り組みを始めた当初は、職員や東京電力の社員が各地点を回ってモニタリングポストのデータを収集し、町役場に帰ってきてからデータを放射線量マップに反映していた。しかし、測定するポイントが増えるとともに問題が発生したという。「職員の負担が増え、測定から反映までの時間も遅れてしまうことが問題になってきました」(同町原子力災害対策課の安斉純主事)
そこで同町はモニタリングポストで自動で収集したデータを、データセンターに自動で送信し、放射線量マップにすぐ反映されるようにした(数値は10分ごとに更新)。放射線量のデータはグラフで表示することもでき、設置当初から現在までの変化もすぐに分かる。
こうしたシステムを整備したことで、職員がモニタリングポストの設置場所に出向くことが減っていった。「データを見ると分かりますが、2014年5月30日を最後に職員による測定は行っていません」(安斉さん)
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