「CRMを導入したのに生かせない」 インディバルの危機を救った名刺管理サービス(2/2 ページ)

» 2015年02月24日 08時00分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
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今度は「CRMへの顧客データの入力が滞る」事態に

Photo インディバルでアルバイト領域Div兼クライアント戦略室パートナーを務める山本氏

 CRMの導入で、“だれがいつ、どこでどんな商談をしたか”という情報が営業スタッフ間で共有され、営業活動のムダは省かれるようになったが、さらなる問題が浮上した。CRMへの顧客情報の入力が徹底されなかったのだ。

 「取引先とのコンタクト状況はきちんと入力されるものの、入力が面倒なメールアドレスなどは省かれることもあり、なかなか名刺通りの情報がCRM内にアーカイブされなかった」(山本氏)。特にメールアドレスが入っていないと、CRM導入の目的の1つだったメールマーケティングに支障をきたしてしまう。

 営業スタッフに負担をかけることなく名刺情報を正確にテキストデータ化し、CRMに取り込むためにはどうしたらいいか――。ちょうど、この条件を満たしていたのがクラウド型名刺管理・共有サービスのメイシーだった。

 導入の決め手になったのは、人の手と目を介した正確な名刺データが生成される点と、生成したデータを同社が使っているZoho CRMにインポートできる点。メイシーを導入することで営業スタッフは、交換してきた名刺をスキャンするだけで、CRMに精度の高い名刺情報を取り込むことが可能になった。

Photo Zoho CRM、Synergy! といったCRMのほか、クラウド型請求書・見積書・納品書管理サービスの「misoca」、年賀状ソフトなどへのデータ移行が可能だ

 「取引先のコンタクト状況に応じたマーケティングメールを送ろうと思っても、メールアドレスが抜けていたり誤っていたら実現できない。正しい名刺情報がZoho CRMに取り込めるようになって、メールマーケティングをスタートできた」(山本氏)

 メールによるマーケティングは、限られたスタッフで急増したクライアントへの対応を迫られた同社で大きな役割を果たしたという。「なかなか接点を作れなかった顧客へのアプローチができるようになり、そこからの返事を通じた営業活動にもつながり始めている」(同)

 また、これまで管理が属人化していた名刺を、全社で共有できるようになったのも効果の1つだ。「これまでは、会社を辞めた人の人脈が引き継がれず、そのままになってしまったケースもあったが、今では全社で人脈を共有できるようになった」(同)

 この12月にはZoho CRMとメイシーのAPI連携が実現。これまでの“いったんCSV形式に書き出してCRMに取り込む”といった手間も省けるようになるなど、さらなるCRM活用の効率化に一役買っている。

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