めちゃ高いプロマネ試験のハードルはアタマの中身より財布の中身!?女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(1/3 ページ)

知れば知るほど奥深いPMP試験の世界。受験のハードルたるや、想像を絶する高さであることが分かってきた。受験料555ドル、失敗して再受験したら375ドル、おまけに受験するには4500時間のプロジェクト経験と35時間の学習が必要って……。

» 2015年07月24日 09時00分 公開
[鐙貴絵ITmedia]

これまでのあらすじは

 会社でヘルプデスクを担当する私が、ある日突然、在宅ヘルプデスク部門開設プロジェクトのマネジャーに任命されてしまったから、さぁ大変。鬱憤晴らしで飲みに出かけたら、今度は勢いでPMBOK(ピンボック)とやらを勉強するハメに……。しかもしかも! いつの間にかPMP(Project Management Professional)の資格試験を受けることになっている……。私は在宅ヘルプデスク業務のプロジェクトを成功に導けるのか? PMPの試験に合格できるのか? いや、そもそも、受験できるのか?


 「うわぁ、PMPの受験料って、こんなに高かったんだぁぁぁぁぁぁ……」

 思わず、PCの画面を前に叫んでしまった私。

 後輩のM君から耳を疑うひと言を聞かされ、家に帰ってすぐPMIのホームページを確認してみたら、そこには試験代「555ドル」という文字が……(PMIの会員でない場合ね)。疑っていたわけじゃないけれど、金額が金額なだけに自分の目で確かめたかったのだ。

 「単純に1ドル100円として計算しても、5万5千円です!」

Photo イラスト:本橋ゆうこ

 そんなM君のセリフが頭の中でリフレインするたびに、私の脳みそはダメージを受け続け、やがて、シェイクしたプリンのように”ふんにゃらふんにゃら”し始めた。プリンでなければ、力なく風になびく、空気がほとんど抜けた風船か……。

 なんだか、理不尽に腹が立ってきた。だって5万5千円もあったら、あの棒が何本買えると思ってるのよ。しかも、計算しやすいから1ドルを100円にしたけれど、今、1ドルは123円ぐらいでしょ(2015年7月下旬時点)、1ドルが123円で555ドルだから、えぇと……計算できないじゃない! とにかく、5万5千円よりも高いのよ!

 私がこれほどまでにダメージをくらっているのは、受験料が基本的に「自腹」だからだ。そして、試験に合格したときにその旨を会社に伝えたら、会社の規定に合わせた受験料と特別ボーナスが一時金として支給される。特別ボーナスは試験の難易度によって違っていて、例えば、基本情報技術者試験は1万円、応用情報技術者試験は5万円だ。高度な試験になると10万円が支給される。

 とはいえ、やはり受験料が自腹、というのはハードルが高すぎる……。なにせ、不合格だったら会社からは一銭も支給されないわけで、正真正銘の完全自腹になってしまう(不合格になるほうが悪いのだけれど)。情報処理技術者試験なら受験料が5100円だから、自腹で受けろって言われても「痛すぎる金額」ではないよね。でもPMP試験の555ドルは、合格したら戻ってくるとはいえ、さすがに痛い。そもそも一発で受かる気がしないし……。

 あ、PMP試験の難易度ってかなり高いと思うんだけど、特別ボーナスはいくらもらえるのかしら(守銭奴)。最高難易度の20万円だったらいいなぁ。今、20万円あったら何かと嬉しいのよね。リンゴの時計も気になってるし、だましだまし使ってきた掃除機も買い換えたいし……あれ? 受かる気がしないはずなのに、私ったらもう、受かった気になってる?

 ……と、現実逃避モードに入っていると、突然、見覚えのある2本の前足が目に飛び込んできた。我が家の猫である。心配そうに私の顔を覗き込むと、自分の顔を私に摺り寄せてきた。

 猫は結構賢い動物である。飼い猫は自立する必要がないので、いつまでたっても飼い主を母親だと思っているフシがある。つまり、何歳になっても子猫の気分なのだ。子猫は基本的に自分勝手で、遊んでほしい時にはこっちの事情もお構いなしに「遊んで〜」と体当たりしてくる。逆にその気がないと、こっちがいくらちょっかいをかけても振り向きもしない。

 ところが、私が病気になって辛そうにしていたり、今回みたいに”ふんにゃらふんにゃら”していたりすると、さも心配そうな顔で近づいてくるのだ。顔をスリスリしてくるのも、まるで「私がついてるからね」となぐさめてくれているようだ。これは親バカ飼い主のたわごとではない……はずだ……。

わたし はいはい。大丈夫だよ。

 猫に向かって、意味もなく返事をしてみる。すると猫は少し安心したのか、私のすぐ横で居眠りを始めてしまった。意味がなかったわけではなかったのね。

 猫に慰められて、少し気が楽になったので、試験のページをもう少し読み込むことにした。敵を知らねば、対策できないし。しかし、読み進めていくと、受験料のほかにもいろいろと驚愕の事実が明らかになってきた……。

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