卵サンドで開眼? プロマネ流「品質管理」コトハジメ女子ヘルプデスクのプロマネ修行奮戦記(3/3 ページ)

» 2015年08月07日 07時00分 公開
[鐙貴絵ITmedia]
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 となると……、えっ、まさか、今さら私のサンドイッチを「品質基準から外れますんで」って取り上げたりしないよね……。卵がさっきの半分ぐらいのサンドイッチに交換されないよね?

 じゃなくて……、品質基準から外れたサンドイッチを作ってしまって、チェック漏れでそのままお客さまに出してしまったらどうなるかを考えよう。今回のA子のような人もいるから、「少ないのは問題だけど、多いのは別にいいよねっ」てわけにもいかないだろう。それで作ったサンドイッチを破棄することになったら、新しいサンドイッチを作らないといけなくなる。コストの面でも時間の面でも、何よりお客さまの精神的な面や、従業員の心理面でも大きなマイナスが生じるってことだよね。

 品質が整っていないことや、十分なチェック体制ができあがっていないことは、単に成果物の単価分だけ損失が出るわけじゃない。品質の悪い成果物は、その不良品の材料費だけじゃなく、人件費や新たに作るための材料費、光熱費などの経費が余計にかかる。不良品を出すとかなりの損失になるってことね。

 コーヒーを飲みつつ、頭の中で品質プロセスの流れを改めて整理し直す私の目は、参考書の品質プロセスの遷移図を見ていた。品質保証では、計画通りの手順で成果物を作成したかどうかを、報告書やチェックシート、あるいはモニタリングしたデータという形で確認する。それは「品質にばらつきはありませんよ。基準内に収まっていますよ」ということを保証する活動なのね。で、本当に品質が保たれているのか、それが妥当かどうか、改善点はないか、といったチェックを品質コントロールで確認するってことなのだ。

 だからこそ、品質計画では、まさに計画段階でさまざまな手順や基準について細かく決めなくっちゃいけない。それが計画部分のページが品質保証プロセスや品質コントロールプロセスより分厚くなる理由なのね。

わたし 計画段階で手を抜いちゃったら大変なことになりそうね。

 A子はそんな私のセリフを聴き流し、作り直してもらったサンドイッチをご機嫌で食べている。

 ところで、「在宅ヘルプデスク業務開設プロジェクト」の品質って何だろう。

 そんな疑問も、あっけなく解決されてしまった。なぜならPMBOKの資料に書いてあったから。品質マネジメント計画のインプット書類はプロジェクト計画書。品質マネジメント計画では、プロジェクト計画書に含まれるスコープ・ベースライン、スケジュール・ベースライン、コストベースライン、そしてあらゆる要求が載っている要求事項文書を参考にすることで自分が担当するプロジェクトの品質を客観的に確認することができるのだ。

 よし、落ち着いたら、少し前に上司Aさんと一緒に作ったプロジェクト計画書を確認してみることにしよう。

 謎が解けてすっきりした私はA子と会社に向かう。お腹もいっぱいになって朝からエネルギー満タン状態。そして、私の「腹はきまった」。PMP資格取得のための費用と手間について覚悟を決めたのだ。

 だって、できるオンナを目指す私としては、与えられたプロジェクトの品質をたとえ1%でもよりよくしたい。PMBOKのすべてを使うわけじゃないにしても、知識がなければ、どんな方法があるのか、どうしたらいいのかなんてことの取捨選択することもできないのだから。

わたし よーし、合格目指してがんばるか!

A子 なによ、突然、どーしたの?

わたし うん。PMPの資格試験って受験料が高いし、受験までのハードルが高くて、試験受けるのが嫌になってたんだけど、やっぱり、合格目指して頑張ることにしたの。って、あれ? その手の中のコーヒー、何?

A子 さっき、サンドイッチの件で文句言ったでしょー。そうしたら、店員さんがお詫びにってテイクアウト用のコーヒーを持たせてくれたのよ。

 たくましい。たくましいよ、A子。しかもそのコーヒー、一番大きなXLサイズじゃない。転んでもただでは起きないその姿勢(ていうか、実際のところ、転んでないのにコーヒーゲットはすごすぎる……)、私も見習わなくちゃ。

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