Facebook、著作権侵害動画対策ツールのテストを開始

人気YouTuberらがFacebookに自身の動画が無断で転載される「フリーブーティング」問題について訴えたことを受け、Facebookが違法動画を迅速・正確に検出できるツールのテストを開始した。

» 2015年08月28日 10時40分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Facebookは8月27日(現地時間)、著作権侵害動画を発見できる動画照合ツールのテストを開始すると発表した。まずは一部のメディア企業や個人の動画製作者などのパートナーと協力してテストする。

 freebooting

 Facebookは近年、動画サービスに注力しており、1〜3月期の決算発表の際、1日当たりの動画視聴回数が40億回を超えたと発表している。

 動画の投稿/視聴が増加するにつて、著作権のある動画を保有者に無断でFacebookに投稿する、「freebooting(フリーブーティング)」と呼ばれる問題も増加している。7月には米メディアのSlateが、複数の人気YouTuberへの取材に基いてこの問題を紹介した。

 Facebookは動画投稿で米Audible Magicの同名の動画フィルタリング技術をFacebook用に最適化したものを採用しており、「ほとんどのクリエイターにとってはこの技術で十分」だが「動画が話題になるクリエイターを含む一部のパブリッシャーにとっては不十分だった」とし、そうしたクリエイターからのフィードバックに基いて新ツールを開発したとしている。

 クリエイターはこのツールにより、Facebookのページ、プロフィール、グループ上の動画を照合できる。数百万本の動画を査定し、違法動画を迅速に、正確に検出するとしている。クリエイターがこのツールで検出した違法動画をFacebookに報告し、Facebookは確認がとれれば該当する動画を削除する。

 Facebookはこのツールを提供することにより、包括的な動画管理システムを提供するという長期目標の端緒についたとしている。

 米GoogleのYouTubeには、2010年から「Content ID」という違法動画対策ツールが備わっている。

 Facebookは現在、ニュースフィードに音楽動画を投稿するよう3大レーベルと交渉中とうわさされており、その条件の1つとして権利侵害動画の取り締まりを(YouTubeより)厳しくすることも約束したという。

 フリーブーティング問題を提起している人気YouTuberのデスティン・サンドリン氏はこの発表を受け、自身のTwitterで「興味深いタイミングだ」とツイートした。同氏はこの発表の直前に期間限定でマーク・ザッカーバーグCEOに対策を求めるYouTube動画を公開していた(現在は削除されている)。

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