個人事業主にはどんな自衛策があるでしょうか。
まず「マイナンバーをいつ、誰に渡したか」リストは作成しておきたいですね。最後の取り引きから7年後、きちんと破棄してもらうためにも、いつまでその番号がその企業にとって有効なのかを把握しておく必要があります。
(参考)2015年10月より順次、世帯主宛てに世帯全員分の「マイナンバー通知カード」(左)が届く。2016年1月より、自身の申請で「個人番号カード」(右)の交付が受けられる。個人番号カードは顔写真付きで、公的な身分証明書になるそして、「マイナンバーが漏えいしていないかを常にチェックする」。先のFAQにもあるように、番号変更はあくまで本人の申請によるものとされています。そうなると、自分の番号が漏えいしたかどうかを自分が把握しなければなりません。
これは企業のセキュリティシステム全般にも言えるのですが、「情報漏えいを“していない”ことを把握する」という難しい作業です。また、不安を狙い撃ちするように、情報漏えい事故の発生と連動したフィッシング詐欺なども多発すると思われます。例えば、「**で漏えい事故が起こりました。<ここ>で、あなたの個人情報とマイナンバーを入力するだけで、漏えいしていないかをチェックできます!」など……。慎重に行動しなくてはなりません。
最後に「漏えいしたときのフローを調べておく」。万が一、取引先企業から自分の番号が漏れて悪用される可能性があると認められたならば、個人番号カード総合サイトなども展開する地方公共団体情報システム機構(J-LIS)のコールセンターへ一時停止の申請をしつつ、住民票のある市区町村でマイナンバーの再交付手続きをする必要が生じます。そして、マイナンバーを渡した取引先のリストのうち、少なくとも当年度の取り引きがある企業に再通知をしなければなりません。この作業は、個人としてかなり高い負荷になるはずです。その補償などがどうなるのかは想像がつきませんが、事業に専念するためにも、このプロセスやフローを早めに確認しておかねばなりません。
このように個人事業主の自衛策もいくつか考えられますが、限度があります。「企業を信じるしかない」のです。企業のマイナンバー担当者はこんな個人事業主の背景も忘れないようにしていただきたいです。
マイナンバーについては「最悪のケース」を考えつつ運用をすることが、最初の数年間の心構えとして適切と考えます。その苦労の先に、確定申告、納税、医療をはじめとする手間のかかる作業がなくなることを期待しつつ……。
運用開始に向け微調整が続く“マイナンバー”。ここへ来て、内容に修正が必要なケースも出てきています。このセミナーでは、マイナンバーの最新情報をもう一度確認し、「よくある誤解」や「間違いだらけのマイナンバー対策」を実務に沿った形で正していきます。
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