さまざまな「情報」を分析し、ビジネスにおける意思決定に活用する「ビジネスインテリジェンス(BI)」をより深く理解するキーワードが、「Data」「Information」「Intelligence」です。どれも日本語では「情報」ですが、3つに分けて考えるとBIの仕組みが見えてきます。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
私たちが、普段使っている「情報」という言葉について英語の意味を考えていくと、3つの単語に分かれることに気付きます。この違いを正しく理解できれば、(Business Intelligence:ビジネスインテリジェンス)アプリケーションとは何かを理解することができます。
業務システムやWebサイト、ソーシャルメディアから日々生成される数字や文字列、物事の特徴、出来事に関わる記述などを収集したものです。これらは、このまま見てもどのような意味があるのかは分からない状態の、素材に当たる「情報」です。
素材であるDataを、例えば「営業店ごとの商品別売上一覧」や「製品Aについての製造歩留まり率の推移」というように、何らかの基準に基づいて構造や体系を与え、整理したものです。表やグラフといった形で分かりやすく整理されている「情報」です。
次のようなケースを考えてみましょう。
「『営業店ごとの商品別売上一覧(=Information)』を見ると、支店Xの商品Aの売上が6月度に大幅に減っている。その原因は、競合他社が、商品Aを狙い撃ちして地域限定のキャンペーンを行ったことにある。競合他社は、この成功を参考にして、同様のキャンペーンを全国に展開する可能性がある。従って、先手を打って、こちらが先にキャンペーンを仕掛けることが賢明である」
このように、与えられたInformationを必要性に基づいて取捨選択し、内容を分析し、価値判断を与えられたものがIntelligenceです。Informationを分析、評価して「洞察(insight)」した結果の「情報」といえるでしょう。この洞察がないものは、Informationであって、Intelligenceとはいえません。
米国にCIAという組織がありますが、正式な名称は、Central Intelligence Agency(中央情報局)です。世界中から政治や経済、軍事などのDataを集め、Informationに加工し、国家の政策決定に影響を与えるものはどれかと、分析、評価して、専門家の解釈を加えたIntelligenceを大統領や政策決定者に報告する組織です。大統領や政策決定者は、そのIntelligenceに基づき、意志決定(Decision)を行います。
BIアプリケーションは、これまで、DataからInformationをつくり出すための手段として使われてきました。そこに、最適化された将来計画を示してくれるBA(Business Analytics:ビジネスアナリティクス)が加わり、Intelligenceをもカバーするようになりました。さらに、人工知能(AI)の適用が広がれば、より高度なIntelligenceをシステムが提供してくれることになるでしょう。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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