業務データを迅速に分析・活用する手法として注目されている「ビジネスインテリジェンス(BI)」は、何をどう知りたいときに使えるのだろうか。BIを活用する業務の場面を交えながら、分かりやすく解説します。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
ある商品の在庫状況を知りたい場合、在庫管理システムに問い合わせれば確認できます。しかし、1カ月後の在庫状況を知りたい場合は、在庫管理システムのデータに加え、受注管理システムにある受注状況のデータや生産管理システムの生産、倉庫への出荷予定に関わるデータと付き合わせなくては分かりません。また、年間の在庫の推移となると、さらに販売計画や生産計画のデータと付き合わせる必要があります。
このように、複数の業務システムにまたがるデータを付き合わせなければ判断できない問い合わせや、その結果をリポートにまとめたいというニーズは少なくありません。
そこで、関係する業務システムから必要なデータを抜き出し、データウェアハウス(DWH:Data Warehouse)を作り、これを使って管理リポートを作成(リポーティング)したり、さまざまな視点からデータの組み合わせを変えて分析(OLAP分析)したり、統計的な手法でデータに内在する法則や関係を見つけ(データマイニング)たりする作業が行われます。
さらに、「在庫量を最小化するための製造パターンを知りたい」といった場合には、上記に加え、統計的な予測モデルを使ってシミュレーションを行い、最適解を求めることが必要になります。
このようなシステムが、ビジネスインテリジェンス(BI:Business Intelligence)」です。ただし、前者のような過去から現在について分析・整理し、リポートするものをBI(Business Intelligence)、未来における最適解を導き出すものをBA(Business Analytics)と呼んで区別することもあります。
BIは、過去や現状を可視化することで、そこに内在する関係や構造から、何らかの結果に至った原因や理由を見つけ出すことが主な目的です。例えば、以下のような業務に利用できます。
一方BAは、将来のある時点における目標を達成するための最適な計画を作ることが目的です。以下のような業務で利用可能です。
経験や勘だけに頼るのではなく、データに基づく的確で迅速な意志決定を行うために、このようなシステムが使われています。
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤリティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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