営業でもエンジニアでもない“ど真ん中”の存在であること――安達久俊さん「ITアーキテクト」という仕事(3/3 ページ)

» 2016年04月27日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]
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釣りで出会う「人間力」がプロジェクトに生きる

 趣味である釣りも仕事につながる面があるという。特に大きなプロジェクトに携わると、釣りで培われたコミュニティーが生きる場面が多いそうだ。

 「ITというのはあくまで裏方。本来、サポートツールであるべきです。そのため、社会インフラの構築といった大きなことを成し遂げようとすれば、IBM1社では完成しません。多数のパートナーを探して一緒にプロジェクトを進めるときには、必ずといっていいほど“人間的な魅力”が必要になります。一緒に釣りをしている人たちは、自らビジネスを興している人たちで『人間力』が本当に高い。学ぶことは多いです」(安達さん)

 多種多様な業種の人たちと出会えるのも“釣りコミュニティー”の魅力だ。業界の中にいると気付かないうちに視点が偏ってしまうが、ビジネスの風潮や景気を肌で感じている人が多いと安達さんは言う。

 「今IBMでは“コグニティブビジネス”を推し進めていますが、それはどのように世の中に受け入れられるものなのか、どのように価値を生み出すのか。これは業界の中にいるだけでは分からないものだと思っています。そういう視点を持ち続けていたいですね」(安達さん)

photophoto 「釣り仲間」から得られる視点や考え方は多い。これがプロジェクトや仕事の役に立つのだという

「人の役に立つもの」を作るために

 自分が作ったものがどんな価値を生み出すか――若いころは何の役に立つのか分からないような特許もたくさん作ってきたと振り返る安達さん。しかし「人の役に立つものを作りたい」という信念は変わっていない。

 自分の方向性を縛りかねないため、あえて将来の目標は置いていないそうだ。その半面、その時々でクライアントのニーズに合わせたベストな方法を考え続ける――これが安達さんのスタンスだ。そのためにも、学び続ける姿勢が大切だと語る。

 「年をとってから自分のポートフォリオを広げるのは大変ですが、この業界にいる限りはしょうがないと思っています。変に偉くなると現場が分からなくなって“浮世離れ”してしまうので、そこは気をつけたいですね。最近はプログラミング言語のほかに、経営者が日々何を考えているか、世界の情勢はどうなっているかということを学んでいます。仕事も釣りも、日々精進ですね」(安達さん)

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