IoTビジネスのアイデアが浮かばない そんな企業への処方箋Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2016年10月03日 13時30分 公開
[松岡功ITmedia]
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経営者に期待したい「IoTの特性とビジネスの勘所の“化学反応”」

 NECが体系立てた形でIoTプラットフォームを発表したのは今回が初めてだが、個々の産業に向けたIoTソリューションはかねて必要に応じて展開してきており、既に600件を超えるプロジェクトを手掛けてきたという。そして、それらのプロジェクトから得た経験をもとに、IoTを活用したデジタルビジネスを行う上で重要なポイントを「デジタルビジネスの要諦」としてまとめた。

Photo 図3 NECが説く「デジタルビジネスの要諦」

 同社が今回発表したIoTプラットフォームは、このデジタルビジネスの要諦がオペレーションにおいてのグランドデザインとなっている。その内容は、次の5つのポイントからなる。

 1つ目は「仮説立案」。ビジネスのアウトカムを明確なモデルとしてシステム要件に組み込めることである。2つ目は「仮説検証」。モノやコトをデータとして捉え、知識・知恵のレベルに転換できる技術を使いこなすことである。3つ目は「スモールスタート」。素早く実証システムを立ち上げて、そのまま本番システムへの稼働に持ち込むことである。4つ目は「事業成長」。事業成長や環境変化に合わせて柔軟に拡張ができることである。5つ目は「堅牢化」。何よりもデジタルビジネスを安定して継続させることである。

 図3は、それら5つのデジタルビジネスの要諦に求められるケーパビリティやビジネスインフラの特長を挙げたものである。それぞれの説明はここでは割愛するが、NECのIoTプラットフォームではこれらの要素がほぼ備わっているという。

 NECが説くデジタルビジネスの要諦は、それぞれを見ていくと決して目新しいものではない。だが、こうしたステップごとに必要な要素を整理しながらコトを進めていくのは重要なことである。

 このデジタルビジネスの要諦は、NEC自身がIoTを活用したデジタルビジネスを進めていくために導き出したものだが、これは今後どの企業にも当てはまる内容といえる。なぜならば、産業分野や規模が違っても、これからはどの企業も自分たちなりのデジタルビジネスを手掛けていかなければ生き残れない時代に入っていくからである。

 ただし、1つ指摘しておきたいのは、何事も仮説立案から始まるということである。つまり、「IoTを活用してこんなことをしたい」というアイデアが必要だ。そのためにはまず「IoTを活用するとはどういうことか」を知らなくてはならない。これは必ずしも技術論ではない。筆者は「IoTの特性とビジネスの勘所を“化学反応”させる」ことだと考えている。ビジネスの勘所は、それこそ経営者が一番長けているはずだ。「うちもIoTを活用せよ」とIT部門などに丸投げするのではなく、経営者自らがアイデアをどんどん出してもらいたいものである。

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