コグニティブ製品を開発するオープンテキスト、「Watson」の半額以下にできる理由(1/2 ページ)

IBMやマイクロソフトが使い、人工知能におけるキーワードの1つになった「コグニティブ」。EIMを手掛けるオープンテキストもソリューションを開発しているという。Watsonよりもはるかに安くソリューションを提供できるとのことだが、その理由とは?

» 2016年12月16日 08時00分 公開
[池田憲弘ITmedia]

 自然言語を理解して、学習し、答えを導き出す――。人工知能にまつわる重要なキーワードの1つ、「コグニティブ」。今、この言葉に注目しているベンダーは、IBMやマイクロソフトだけではない。エンタープライズ情報管理(EIM)を手掛けるオープンテキストもその1社だ。

 同社は現在、コグニティブ製品「MAGELLAN(マゼラン、開発コード名)」を開発している。これは音声や動画などを含む、非構造化データと構造化データを組み合わせた大量のデータから、ユーザーが有用な情報を引き出すことを支援するソリューションだ。OpenTextでCMO(Chief Marketing Officer)を務めるアダム・ホートソン氏は、今、同社が最も注目している分野は機械学習やコグニティブの領域だと話す。

 「企業が保有しているデータのうち、約90%が非構造化データです。自然言語解析やテキストマイニングを軸として、人間と機械がやりとりをするごとにどんどん機械が賢くなり、よりよい決定をリアルタイムに出せるように支援してくれる――。OpenTextでは、そんな技術としてコグニティブに注目しています」(ホートソン氏)

物流や製薬の分野で実績

photo OpenTextでCMOを務めるアダム・ホートソン氏

 とはいえ、コグニティブという言葉はまだまだその意味や、それがもたらすメリットについては未知な部分も多い。ホートソン氏は「機械にインプットするデータやアウトプットされるデータを、人間にとって分かりやすい形に変えるという意味で、自然言語は非常に大事」だと話す。コグニティブ製品の引き合いは強く、製造業や物流、ヘルスケア、ライフサイエンス、政府団体、エネルギー企業といった業種に注力しているそうだ。

 「最近では、物流、製薬の大手企業と導入事例の話をしました。例えば、海運の分野では、スマートフォンを海外に輸送するときなどに、さまざまな書類を記入する作業が発生しますが、コグニティブソリューションを使うことで、過去に溜めてきた書類や法律、規制などのデータを分析し、ユーザーが記入をせずとも書類ができ上がるようになるといった使い方があります。ユーザー体験が大きく変わりますよね。

 製薬会社では、新薬開発の業務でコグニティブソリューションが生かされています。例えば、医者は新薬開発に向けてノートを何千冊と書き溜めています。どの薬をどの人間に当てはめるのか――その溜めたデータにコグニティブソリューションを使うことで、洞察や発見を導き、どの薬がどの人間に合うかという作業を自動化、効率化していくという使い方をしているとのことです」(ホートソン氏)

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